君の初心者
「紗良が俺のこと嫌いにならない限りは、一緒にいられるよ」
「えっ、わぁっ!」
声がしたと思ったら、部室の入口に智也くんが立っていた。
今日は部活がおやすみの日だから、部室の整理でもしようかなって思ってたんだけど……。
「えっと、どこから聞いてたの?」
おそるおそる訊いてみると、智也くんはこっちへ近づいてきながら言った。
「全部、かな。ここに来てみたら紗良がいて、部室のドア開けたら突然しゃべり始めたんだよ」
その言葉を聞いて、わたしは額に冷や汗が流れた。
そっ、それって、「まだまだ、付き合って日は浅い」ってとこから!?
自分の心の中で言ってるつもりだったのに、初めから声に出してしまっていたようだった。
うぅ、恥ずかしい……。
顔が熱くなるのを感じて、思わず頬を両手で包み込む。