君の初心者
「俺こそ、重たいと思う。たくさん好きって言っちゃうし、独占欲が強いことも自覚してる」
「それでも……いいよ。むしろ、わたしは、えっと……そういう智也くんが、す、好きだからっ!」
気持ちが届きますようにって、わたしは大きな声で言った。そして続ける。
「えっとね、これはわたしが思うことだから、否定されても仕方ないと思うんだけど……」
そう前置きすると、「俺はちゃんと受け止めるから大丈夫だよ」と言ってくれた。
「わたし……はね、そういう思いも含めて好きって気持ちも、大切なんじゃないかなぁって思うよ」
恋愛初心者で、人を好きになったのが初めての人の考えなんて根拠もなにもないと思うけど。
これが今のわたしの思い、なんです。
「……そうだね。俺もそう思う。俺、どんな紗良のこともすごい大事に想ってるからな。あと、紗良は俺に何にも返せてないって言ってたけど、そんなことないから。紗良には“幸せ”を貰ってるよ」
「そっか。……よかった、ありがとう」
顔は見えないけど、智也くんは笑っていてくれてる気がした。
「こんな俺のこと好きになってくれて、ありがとう。紗良」
「わたしもだよ。大切に想ってくれてありがとう、智也くん」
わたしたちはもう一度ぎゅっと強く抱きしめ合った。