秘密のノエルージュ
じっと見つめ合う。自分の言葉でちゃんと気持ちを伝えてくれた大和に、ちゃんと返事をしたくて。
「私、多分ちょっと変な子だよ。……それでもいいの?」
「それはお互い様だと思うけどな」
あえて『変態』をちょっとマイルドに改変して『変な子』と言ったのに、あっさり肯定されてしまう。それどころか、自分もそうだと言われてしまう。
ほっとする。
お互い様ならいいか、なんて。
「私も大和のこと好き。一緒にいると、安心するよ」
言葉に出して返事をすると、大和が嬉しそうにはにかんだ。いつも冗談を言ってからかう時と同じなのに、それより少しだけ男らしい笑顔で。
大和の顔が近付くと、そのままゆっくりと唇が重なる。
初めて触れる彼の唇は想像していたよりも柔らかかった。その分、身体を掴まえる手は力が強い。
男の人なんだ、と当り前のことを今更ながらに実感してしまう。大和の言う通り今まではあまり意識していなかった。異性として考えたことなんてなかった気がする。きっと幼なじみの時間が長かったから。
唇を離して見つめ合うと、急に恥ずかしくなってきた。だから目も顔も見ないで欲しいのに。
「見たい」
ニットワンピースの裾をくいっと引っ張った大和の要求は『自分がプレゼントしたものを、見せて欲しい』――恥ずかしげもなく、むしろ大真面目に。