ワスレナグサ。〜忘れたくない君との恋〜
「お、松村さん。この前はどうもね」
私を見た先生は、ニコッと微笑んだ。
「先生、カナちゃんに告白されたの、ほんと?」
第一声がその言葉で、
先生はかなり驚いた顔を見せた。
「ふふふ、どうしたの、急に。そんなこと答えられるわけないだろ?」
「あ、ごめんなさい!!や、先生ってモテるんだなぁって思って。」
「それを言いに?」
少し困った顔の先生。
私...なにやってんだろう...
「ん〜...モテるって表現は違うと思うな、俺は。確かにお前たち生徒とは、違うし、大人だし、だから特別だと勘違いしてしまうんだよ。こっちの世界に来たら、俺なんてどうしようもない、ちっぽけな人間なのに。」
「そんな事...!」
「あるんだよ。それを伝えるの大変だぜ〜。お前たちは、ゆっくり大人になれな。」
私の頭にポンっと手を置いて、
それ以上は言わせないと言わんばかりの、
そんな顔をしながら、
先生は「気をつけて帰れよ。」と、
体育教官室から出ていってしまった。