放課後、先生と秘密の時間。
「え?数学ですか?」
緊張し過ぎて返事をするのが遅くなってしまった。
声もなんか裏返ったし。
恥ずかしい………。
「そうだ。今日の授業、眠そうにしてただろ?ついていけてるか心配になってな」
「……………すみません」
気づいていたんだ。私が眠そうにしていること。絶対に気づいていないと思っていたのに。
「まぁ、お前は大丈夫か。なんたって、数学だけは成績いいからな」
ははっと小さく笑う。いつもクールな先生の笑った顔なんてレアだから思わずポーっとみとれてしまう。
…………ズルい。その笑顔は反則ですよ。
「数学だけって、だけって、なんですか。ほかの教科も悪くはないですよ……ですよね?」
ムッとして反論したはいいもののなんだか不安になり最後は疑問系になってしまった。
「ふはっ。大丈夫だろ。高橋はいつも頑張ってるよ」
先生はぽん、と私の頭に大きな手をのせて優しくなでる。