ラヴシークレットルーム ~日詠医師の溺愛クリスマスイヴは・・・



『伶菜?』

大きな物音がしたため、もしかして彼女が起きているかもしれないと小さい声で彼女を呼んだ。

けれども、こっちへ近付いてくる足音も返事も聞こえない。
反応がないことによって、もしかして伶菜が倒れたりしているのかもしれないという不安が過ぎる。
そのため、急いで彼女らがいるであろう寝室に足を運び、ドアを開けて中の様子を窺った。

するとそこには寝相の悪い子供などがベッドから落ちないようにするための転落防止柵を蹴飛ばした様な格好で寝ている祐希がいた。

その横にはいつものようにちゃんと向かい合って眠っている伶菜と陽菜の姿。


『さっきの音はコレだったんだな。それにしても、あの音で伶菜も陽菜も起きないなんて。』

ついふっと笑いをこぼしながら、祐希の足を掛け布団の中に入れてやり、大きくズレていた転落防止柵をそっと元の位置に戻した。


『よし、これで大丈夫だな。おやすみ。』

爆睡状態の祐希の頭をそっと撫でてやった後、伶菜や陽菜の穏やかな寝顔を見つめてから寝室のドアを閉めた。


その翌朝。


『奥野先生、やっぱり凄いんだね・・・ナオフミさんも認めていることもあって。』

「ああ。昔から変わらず。緊張するとか言いながら堂々と発表していたよ。」

『奥野先生でも緊張するんだ♪』

「まさか。口先だけだ。質疑応答の時に重箱の隅をつつくような質問をされていても、涼しい顔して完璧な回答をしていたしな。』


朝食のトーストをかじりながら昨日の研修会の話の中で奥野さんのことを話すと、伶菜は楽しそうに聞いてくれた。



「見たかったな~。奥野先生がサクサクと質疑に応対する姿!」


旦那である俺にキスをしてきたという奥野さんに対して伶菜が嫌悪感を抱いてもおかしくはない
確かにその出来事が起こった時はさすがの伶菜でも戸惑ったらしい

それでも、彼女が祐希を妊娠している時から奥野さんという人間がどういう人かを理解しているのか、彼女の中にある奥野さんへの信頼感がなくなることはなかったようだ


そういう大人な伶菜にも俺は感謝しなくてはならない



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