ラヴシークレットルーム ~日詠医師の溺愛クリスマスイヴは・・・
『こんなことになったって・・・・どういうことですか?』
慌ててここまで来た私。
詳細は後でと電話口で言っていた片平さんから聴いていなかったこと。
その事情を知っていそうな福本さんに聴いた。
こんなことになって・・・・という言葉が
相変わらず険しい面持ちを崩さない福本さんの表情が
あたしの胸騒ぎを更に加速させた。
「・・・ここにナオフミくんが、自分の目で確認して。祐希と陽菜は私が見ているから。」
子供達すら今の彼に会わせないほうがいいという判断・・・?
「ふくもとのおばちゃん、パパは~?」
「パパはちょっと・・・・・祐希と陽菜はこっちでおばちゃんとおやつでも食べようか?」
「おやつ、なに?」
「・・・なにしよっか・・・・とりあえず行こう。」
祐希に向き合う福本さんもいつもの彼女ではなく
口角をなんとか引き上げて笑顔を作っている
・・・その姿によって事の深刻さが更に増したような気がする
『福本さんっ!!!!!』
「祐希達と待ってるから・・・・だから早く。」
福本さんと私が話していることに気を遣ったらしい片平さんだけでなく、福本さんもこんなことに・・・”の内容を確認させてくれないまま、祐希と陽菜を連れて私の前から立ち去ってしまった。
この病棟で入院している患者さんが少ないのか静まり返っている廊下は私ひとりきり。
『・・・・・・・・・・・』
入院中のクライアント(相談者)に用事があったりして病室を訪れる際なら、躊躇うことなくノックをして病室内へ入らせてもらうのに
目の前の病室に居るであろう人は、私もよく知っている人なのに
このドアをノックするべきこの手が動かない
怖い・・・・
片平さんの・・・彼女らしくない焦りが入り混じった反応からも
福本さんの・・・彼女らしくない険しい表情も
この中で何が起こっているのか
想像したくないことをどうしても想像してしまう
でも、このままここでずっと立ち止まっているわけにはいかない
覚悟を決めなきゃ
これだけ多忙を極めているナオフミさんの身に何があってもおかしくはない
お父さんの最期みたいなことがあっても
でも、妊婦さんや患者さん達から必要とされている彼に
頑張らないでとは決して言えない
私も彼に救われたから
だから
何があっても受け止める覚悟が
私には必要
ふ~っ・・・・コンコン!
私は大きく深呼吸をしてから慎重にドアを叩いた。