ラヴシークレットルーム ~日詠医師の溺愛クリスマスイヴは・・・
しどろもどろに彼女が口にするダイスキも
やっぱり可愛く思えてしまう
惚れた者の負けってヤツだな
俺が奥野さんにキスされた時みたいな後ろめたさを感じるような行動なんか・・・もうできやしないさ
それを伶菜にもわかってもらう必要もありそうだ
『1個足りない。あといつもの勢いも。』
「・・・・・・・・・・」
彼女の瞳を射抜くような鋭い視線でいつものダイスキを要求する俺。
それに対し、照れくさそうな表情を浮かべ視線を外した伶菜。
このまま、聞き流されるのか?と思った矢先、
彼女はウ、ウンと喉の奥のほうでひとつ咳払いをしてから
俺と再び視線を合わせ、小さく口を開いた。
「・・・・えっと・・・ダイスキ!・・ダイスキ!!・・・ダイスキ!!!」
徐々に力強くなったダイスキ。
一番力強いダイスキを言い終えた後、えへっと笑った彼女。
その顔はいつものダイスキ出しました!と言わんばかりのドヤ顔にも見えてしまう
そのドヤ顔も俺のスキなもののひとつだったりする
『いつもの・・だな。おかげで充電バッチリになった。で、こっちも頂く。』
「・・・熱い・・・から気をつけてね。」
ようやく差し出されたクリームシチュー皿と共に
愛しい彼女から引き出したダイスキ
惚れた者の負けも悪くないけれど
時にはこうやって惚れた者の勝ちになりたい
そういう欲張りな俺だから、
下手くそでも、少しずつでも、伶菜の想いそして自分の想いをお互いに共有できるようになりたいと思う
俺らしくない発言をするようになったのは
彼女に自分の気持ちをちゃんと伝えなきゃという想いだけでなく
そういう想いにも駆り立てられるようになったせいかもしれない
それにしても
過去の自分が今の俺を見たら驚くだろうな
幸せそうでいいよなって・・・
『やっぱり美味い、伶菜のクリームシチュー。』
「よかった。今日寒かったから、こういうもののほうが体が温まるかと思って。」
伶菜とのこういうやり取りひとつをとっても
過去の自分はそう思うんだろう