#青春リクエスション
野木会長が机の上で手を組んだ。
「改めまして、愛和高校生徒会長の野木暁です。それと同時、青春リクエスションの発案者です」
にこりと微笑んだ、それは生徒会長就任式の時と同じように。
「「………。」」
まぁ当然理解は出来なかったんだけど。
「暁…、ちゃんと話せばいいってもんでもないのよ」
藤代先輩の低音が響く。今の言葉で背筋を伸ばした私たち。
「難しいな、簡潔に話したつもりだったんだけど…。あ、こちらは藤代花絵ちゃんね」
「こんにちは、生徒会副会長の藤代花絵です」
凛とした振る舞いに飲まれるように、私たちもぺこりと頭を下げる。
「じゃあまず、“青春リクエスション”について話そうか!」
そう言ってスマホを取り出した。
生徒専用非公式SNSアプリ“Speaks”の画面を開いて。
「これはうちのマブが作ったんだけど。あ、マブってあいつね。あそこで突っ立ってる馬渕心平ってやつ」
「おいノギ!テキトーすぎるだろ俺の説明!」
「趣味自作ゲーム作りだから。あ、あと会計」
「役職の説明のがテキトーってなんだよ、まぁいいけどさ」
もうすでにキャパ超えそうなんだけど、アプリって作れるんだ…ツッコむタイミングも失って質問する前に野木会長が教えてくれる。
「登録する時に学年とクラスと出席番号、あと生徒番号入れないとログインできないようになってるから必ずうちの生徒しか使えないんだ。でもセキュリティ対策はしてるから個人情報の漏洩はもちろん、誰が使ってるかは俺たちでもわからない。わかるのは現在の利用者数ぐらいかな。それで、”青春リクエスション”が何かって言うと…」
てことは別に身バレして呼び出されたわけではないんだ。じゃあなんであんなメッセージを私に?
「コンセプトは退屈な高校生活を少しだけ彩る、学校をつまらないって感じてる人や億劫に思ってる人たちに少しでも良い思い出になるように始めた…それが“青春リクエスション”」
野木会長の声は聞きやすくてスルスルと耳に入ってくる。
思わず聞き入ってしまった、私も凛空ちゃんも。
「やってほしいことに#青春リクエスションと添えるだけで、俺たちがそのお手伝いをする。もちろんそんな大がかりなことはできないけど、あくまで少しだけ彩るのが目的だから、ちょっとでも楽しかったって思ってもらえたらいいんだ。そのメンバーが俺たち、生徒会」
「…生徒会が仕切ってるってことですか?」
凛空ちゃんが聞いた。なんか恐る恐るゆっくり。
「んー、そこは結果的にそうなっちゃったんだけど。話せば長くなるんだけどね…」
組んだ手の上に顔を乗せた野木会長、はぁっと吐いた息に少しだけ緊張が走る。
他にもっと大きな意味があるのかって…
「半年前からやってるけど誰もやってくれないから生徒会になってまずは目立ってみようかなって」
全然短かったし、半年間絶対もっと他にできることあったと思う。
てゆーか誰もやってくれなかったって…
ここで蘇るさっきの言葉。
“今までは自作自演でやってたのにさ!”
全部理解できてしまった気がする。
野木会長がぱんっと手を合わせた。
「で、君が初めてのリクエスター!!!」
「!?」
「嬉しくってつい呼び出しちゃった♡」
超恥ずかしい、何やってんの私!
しかも呟いた人のこと、リクエスターって言うの!?
「ありがとう!」
………。
あまりに嬉しそうで、にこりと微笑んでいた野木会長とはまた違う、それが本当の笑顔なのなかって…思っちゃった。
ドキッて胸が痛んだ。
胸が痛い。
だって隣に、藤代先輩がいるもん。
「改めまして、愛和高校生徒会長の野木暁です。それと同時、青春リクエスションの発案者です」
にこりと微笑んだ、それは生徒会長就任式の時と同じように。
「「………。」」
まぁ当然理解は出来なかったんだけど。
「暁…、ちゃんと話せばいいってもんでもないのよ」
藤代先輩の低音が響く。今の言葉で背筋を伸ばした私たち。
「難しいな、簡潔に話したつもりだったんだけど…。あ、こちらは藤代花絵ちゃんね」
「こんにちは、生徒会副会長の藤代花絵です」
凛とした振る舞いに飲まれるように、私たちもぺこりと頭を下げる。
「じゃあまず、“青春リクエスション”について話そうか!」
そう言ってスマホを取り出した。
生徒専用非公式SNSアプリ“Speaks”の画面を開いて。
「これはうちのマブが作ったんだけど。あ、マブってあいつね。あそこで突っ立ってる馬渕心平ってやつ」
「おいノギ!テキトーすぎるだろ俺の説明!」
「趣味自作ゲーム作りだから。あ、あと会計」
「役職の説明のがテキトーってなんだよ、まぁいいけどさ」
もうすでにキャパ超えそうなんだけど、アプリって作れるんだ…ツッコむタイミングも失って質問する前に野木会長が教えてくれる。
「登録する時に学年とクラスと出席番号、あと生徒番号入れないとログインできないようになってるから必ずうちの生徒しか使えないんだ。でもセキュリティ対策はしてるから個人情報の漏洩はもちろん、誰が使ってるかは俺たちでもわからない。わかるのは現在の利用者数ぐらいかな。それで、”青春リクエスション”が何かって言うと…」
てことは別に身バレして呼び出されたわけではないんだ。じゃあなんであんなメッセージを私に?
「コンセプトは退屈な高校生活を少しだけ彩る、学校をつまらないって感じてる人や億劫に思ってる人たちに少しでも良い思い出になるように始めた…それが“青春リクエスション”」
野木会長の声は聞きやすくてスルスルと耳に入ってくる。
思わず聞き入ってしまった、私も凛空ちゃんも。
「やってほしいことに#青春リクエスションと添えるだけで、俺たちがそのお手伝いをする。もちろんそんな大がかりなことはできないけど、あくまで少しだけ彩るのが目的だから、ちょっとでも楽しかったって思ってもらえたらいいんだ。そのメンバーが俺たち、生徒会」
「…生徒会が仕切ってるってことですか?」
凛空ちゃんが聞いた。なんか恐る恐るゆっくり。
「んー、そこは結果的にそうなっちゃったんだけど。話せば長くなるんだけどね…」
組んだ手の上に顔を乗せた野木会長、はぁっと吐いた息に少しだけ緊張が走る。
他にもっと大きな意味があるのかって…
「半年前からやってるけど誰もやってくれないから生徒会になってまずは目立ってみようかなって」
全然短かったし、半年間絶対もっと他にできることあったと思う。
てゆーか誰もやってくれなかったって…
ここで蘇るさっきの言葉。
“今までは自作自演でやってたのにさ!”
全部理解できてしまった気がする。
野木会長がぱんっと手を合わせた。
「で、君が初めてのリクエスター!!!」
「!?」
「嬉しくってつい呼び出しちゃった♡」
超恥ずかしい、何やってんの私!
しかも呟いた人のこと、リクエスターって言うの!?
「ありがとう!」
………。
あまりに嬉しそうで、にこりと微笑んでいた野木会長とはまた違う、それが本当の笑顔なのなかって…思っちゃった。
ドキッて胸が痛んだ。
胸が痛い。
だって隣に、藤代先輩がいるもん。