#青春リクエスション
「だーかーら!ここはそうじゃねぇって何度言ったらわかるんだ!」
「有末くんはきちんと問題読んでないから、もう一度読んで。理解が足りないのよ」
「…何度読んでもわかりません」
まだ1人苦戦してる人がいるけど。
あれから3日経っても未だクリアが出来ない凛空ちゃんは花絵先輩と馬渕先輩に教えられながら机に向かっていた。
「凛空くんって本当に出来ないんだね」
「暁先輩そんな花絵先輩みたいな表情で言わないでください、さすがに凛空ちゃんが可哀想です…」
涙目になりながら花絵先輩のスパルタ塾に入門中の凛空ちゃんは必死にノートを取っている。残りあと1問がわからないらしい。
「凛空ちゃんもう諦めたら?ここまで出来ただけで十分だよ」
「でもこれが出来ないともらえないから~…っ」
「もらえないって何が?」
この謎解きに何か特典なんかあったけ?
てゆーか作ったのは私たちなんだからそれに凛空ちゃんが誰より真剣に参加してるって、何が欲しいの?
「つーか一度貰って返したやつが欲しいって何だよ」
「そうね、私なら絶対いらないけど」
あれそーいえば、誰かもそんなこと言ってたような。
“じゃないとあれ終わっちゃうから!”
って…馬渕先輩と花絵先輩はいらなくて、凛空ちゃんは欲しいもの?それって一体…?
「あ、できた!答えy=(x-3)²+2!!」
立ち上がった凛空ちゃんがどうですか?と言わんばかりの顔で暁先輩を見た。
「お、正解!凛空くんおめでとう、クリアだよ」
「ぃえーーーーい!」
「じゃあ凛空くんにはこれをあげよう。本当はもうなくなちゃったんだけど、青春リクエスションの仲間の凛空くんだから俺が持ってる最後の1本をあげるよ」
そう言って胸ポケットに差してあった愛和高校創立20周年記念鉛筆を取り出した。
え、鉛筆?創立記念鉛筆!?
「よくできました」
「あざぁーーーーす!!!」
いやいやいや、ちょっと待って!なんで!!?
「それどーゆうことですか!?」
なんでそんなもう終わった地味鉛筆が今欲しいのか全然わからないんだけどっ
「なんだ、由夢知らないのか?今これ学校中で流行ってるんだぞ」
馬渕先輩が見せてくれたスマホを覗くとあんなに過疎ってたSpeaksは驚くほど活性化されていた。
しかも話題はこの鉛筆のこと。
「何でですか!?」
「これも全部暁の悪ふざけよ」
すぐに暁先輩の方を見るとニンマリと満足げだった。
「この鉛筆、使い切ると願いが叶うんだって♡」
「………そうなんですか!」
「井住さんそんなわけないでしょ、暁がテキトーに言ってるだけだから」
いつの間にそんなことになっていたのか、在庫処分に困っていたあの6年前の創立記念品が学校中の流行と化していた。
「人ってね、とっても単純な生き物なんだよ♡こんな変哲もない鉛筆でも願いが叶う鉛筆だって言われたら欲しくなるし、勉強だって一緒だよ。嫌だなって決めつけるからよくないんだ」
やっぱり暁先輩はすごい。
誰にもない発想を常に持ってる。
「でも鉛筆って暁先輩が渡してたんですか?バレちゃいません?これしてることが…」
「暁はそんな手を汚すようなことしないわよ」
「花絵ちゃん犯罪犯してるみたいな言い方しないで」
話を聞いたらSpeaksで青春リクエスション宛にメッセージで名前と学年と出席番号、その全ての回答を書いた紙を写真を撮って送ると、こっそり下駄箱に入れてくれるというこれまた話題になりそうなことが裏で行われていたらしい。
「おかげで鉛筆も処分できたし、一石二鳥~!」
いや、本当にすごい。抜かりない。
そして最後の鉛筆をもらえた凛空ちゃんも嬉しそうだった。
「…でも凛空ちゃん、それ在庫処分のだよ?凛空ちゃんは知ってるよね?」
「いいんだよ、信じる者は救われるだろ」
「凛空くんは叶えたい夢があるんだ?」
「まぁ、そんなとこです!」
ふーん、凛空ちゃんって案外ピュアなんだな。だけどみんなが騒いでる流行りの鉛筆って聞いたら確かに気になっちゃうかも。
だってこんな風にSNSに挙げて楽しそうにしていると。
…いや、私はいらないか!
ちなみにテストは全体的に成績が上がったらしい。
「有末くんはきちんと問題読んでないから、もう一度読んで。理解が足りないのよ」
「…何度読んでもわかりません」
まだ1人苦戦してる人がいるけど。
あれから3日経っても未だクリアが出来ない凛空ちゃんは花絵先輩と馬渕先輩に教えられながら机に向かっていた。
「凛空くんって本当に出来ないんだね」
「暁先輩そんな花絵先輩みたいな表情で言わないでください、さすがに凛空ちゃんが可哀想です…」
涙目になりながら花絵先輩のスパルタ塾に入門中の凛空ちゃんは必死にノートを取っている。残りあと1問がわからないらしい。
「凛空ちゃんもう諦めたら?ここまで出来ただけで十分だよ」
「でもこれが出来ないともらえないから~…っ」
「もらえないって何が?」
この謎解きに何か特典なんかあったけ?
てゆーか作ったのは私たちなんだからそれに凛空ちゃんが誰より真剣に参加してるって、何が欲しいの?
「つーか一度貰って返したやつが欲しいって何だよ」
「そうね、私なら絶対いらないけど」
あれそーいえば、誰かもそんなこと言ってたような。
“じゃないとあれ終わっちゃうから!”
って…馬渕先輩と花絵先輩はいらなくて、凛空ちゃんは欲しいもの?それって一体…?
「あ、できた!答えy=(x-3)²+2!!」
立ち上がった凛空ちゃんがどうですか?と言わんばかりの顔で暁先輩を見た。
「お、正解!凛空くんおめでとう、クリアだよ」
「ぃえーーーーい!」
「じゃあ凛空くんにはこれをあげよう。本当はもうなくなちゃったんだけど、青春リクエスションの仲間の凛空くんだから俺が持ってる最後の1本をあげるよ」
そう言って胸ポケットに差してあった愛和高校創立20周年記念鉛筆を取り出した。
え、鉛筆?創立記念鉛筆!?
「よくできました」
「あざぁーーーーす!!!」
いやいやいや、ちょっと待って!なんで!!?
「それどーゆうことですか!?」
なんでそんなもう終わった地味鉛筆が今欲しいのか全然わからないんだけどっ
「なんだ、由夢知らないのか?今これ学校中で流行ってるんだぞ」
馬渕先輩が見せてくれたスマホを覗くとあんなに過疎ってたSpeaksは驚くほど活性化されていた。
しかも話題はこの鉛筆のこと。
「何でですか!?」
「これも全部暁の悪ふざけよ」
すぐに暁先輩の方を見るとニンマリと満足げだった。
「この鉛筆、使い切ると願いが叶うんだって♡」
「………そうなんですか!」
「井住さんそんなわけないでしょ、暁がテキトーに言ってるだけだから」
いつの間にそんなことになっていたのか、在庫処分に困っていたあの6年前の創立記念品が学校中の流行と化していた。
「人ってね、とっても単純な生き物なんだよ♡こんな変哲もない鉛筆でも願いが叶う鉛筆だって言われたら欲しくなるし、勉強だって一緒だよ。嫌だなって決めつけるからよくないんだ」
やっぱり暁先輩はすごい。
誰にもない発想を常に持ってる。
「でも鉛筆って暁先輩が渡してたんですか?バレちゃいません?これしてることが…」
「暁はそんな手を汚すようなことしないわよ」
「花絵ちゃん犯罪犯してるみたいな言い方しないで」
話を聞いたらSpeaksで青春リクエスション宛にメッセージで名前と学年と出席番号、その全ての回答を書いた紙を写真を撮って送ると、こっそり下駄箱に入れてくれるというこれまた話題になりそうなことが裏で行われていたらしい。
「おかげで鉛筆も処分できたし、一石二鳥~!」
いや、本当にすごい。抜かりない。
そして最後の鉛筆をもらえた凛空ちゃんも嬉しそうだった。
「…でも凛空ちゃん、それ在庫処分のだよ?凛空ちゃんは知ってるよね?」
「いいんだよ、信じる者は救われるだろ」
「凛空くんは叶えたい夢があるんだ?」
「まぁ、そんなとこです!」
ふーん、凛空ちゃんって案外ピュアなんだな。だけどみんなが騒いでる流行りの鉛筆って聞いたら確かに気になっちゃうかも。
だってこんな風にSNSに挙げて楽しそうにしていると。
…いや、私はいらないか!
ちなみにテストは全体的に成績が上がったらしい。