#青春リクエスション
階段を上った先、多くに人が初詣に来ていてお参りするのにも並ぶことになった。
これだけたくさんの人が集まる場所の神様と思うと、なんだかご利益有りそうな気がしていつもより多めの15円を財布から取り出して準備をした。

横一列にみんなで並んでお賽銭箱にお金を入れて手を合わせる。

「今年もたくさんのリクエストに応えられますように」

「去年はそんなに応えられてなかったわよ、リクエストなかったんだから」

「花絵ちゃん今神様と喋ってるから」

神様の前でも相変わらずな暁先輩と花絵先輩に笑いそうになりながら自分のお願い事をした。

念入りに、これでもかってぐらい、丁寧に。

そしたら私が一番最後までお願いしてたらしくて目を開けた頃にはもうみんなその場にいなくて慌てて走って追いついた。

「由夢ちゃんやっと来た、真剣に神様と向き合ってたね」

「すみません、つい夢中になっちゃって!みなさんは?」

「花絵ちゃんはトイレ、マブと凛空くんはあそこで絵馬書いてるよ」

暁先輩が指さした方を見ると凛空ちゃんがひたむきな眼差しでペンを握っていた。

そーいえば凛空ちゃん、叶えたい夢があるって言ってたもんなぁ…よっぽど思いが強いんだろうな。

「暁先輩は絵馬書かないんですか?」

「俺は叶える立場だからね!」

「………。」

「…由夢ちゃんここ笑うとこだよ?」

「え!?そうなんですか!すみません、感動しちゃってました!」

眉をハの字にした暁先輩がははっと笑った。

神様ってやっぱいるのかな?
もう願い事が叶い始めてる。


“暁先輩の笑顔がたくさん見られますように、できれば私だけの”


そんな姿を見て、私も笑った。

嬉しい、楽しい。



暁先輩が好き。



「暁先輩は何で青春リクエスション始めたんですか?」

「そんなのまんまだよ、笑顔が見たいから」

おんなじだ、私と。

私が暁先輩に思ってることとおんなじ。

「すてきですね」

「そう?」

テスト問題謎解きみんな楽しんでたし、願いが叶う鉛筆(嘘)も嬉しそうに使ってる人たくさんいた。


優しいんだよね、暁先輩は。


きっとみんな笑顔になってるよ。


私がそうだもん。


だから、いつかその笑顔が私のものになったらいいのに。






神様、どうかよろしくお願いします。
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