#青春リクエスション
「次みんなでおみくじ引きに行こう!」

戻って来た花絵先輩たちと毎度マイペースな暁先輩の仕切りのもと、おみくじを引きに行くことにした。

初詣に来たならもちろんおみくじは必須だもんね。

1回200円のおみくじ、お金を払って六角柱形の筒を振る。
小さな穴から出てきた棒に書かれた番号は…

「62!」

「62番はこちらになります」

「ありがとうございますっ」

巫女さんから渡されたおみくじをドキドキしながらゆっくり開いた。

「由夢どうだった?俺吉!」

「あ、大吉だ!!!」

凛空ちゃんが私が手に持つおみくじをのぞき込んだ。

「マジ!?いいじゃん!」

わーーーーーー!
初めて見たかもしれない大吉ーーーーー!!!

今まで何度も引いてるけど自分で大吉引き当てたのは初めてだ!
やっぱり今年は良い年すぎるんだよ…!

「あ、暁先輩!私大吉でした!」

「本当に?おめでとう!」

半ば忘れていたあの事を思い出したから。


“大吉!!!#青春リクエスション”


「リクエスト達成だね!」

「………え?」

何の手ごたえもないですけど??

てゆーか…

「あれ私のリクエストじゃないですよ!」

「そんなのわかってるよ、でも由夢ちゃんが大吉を引き当てたんだからリクエスト達成でしょ?」

私が頭の上でクエスションマークを浮かべている間にもうみんなおみくじを結び始めていた。

「井住さん、考えるだけ無駄よ」

暁先輩もおみくじを結び始めた、満足げな表情を浮かべながら。

「おみくじを引いた人全員が大吉は不可能だし、俺が決められるものでもない。でも日本中ではたくさんの大吉が引かれてる。それでいいんだよ」

「ほら、いつも通りの屁理屈でしょ?」

「…なるほど」

「納得し始めたら負けよ、忘れていいわよ」

改めて大吉のおみくじを見た。

私にとっては初めての大吉だったけど、日本中で見たら数え切れないほど引かれてるんだもんね。

それでもやっぱり嬉しかったからおみくじの写真を撮ってから結び付けた。

「…でもその理論だと今日はなんで招集かけたんですか?特に何もしなくてもリクエスト叶えられましたよね?」

「そんなのただ俺が会いたかっただけだよ」

にこりと微笑んで…


やばい、やっぱ大吉だ。

てゆーか神様すごい。

わかってる、今のは私に言ったんじゃなくてみんなにだってこと。

なのに頬が熱くなる。 

冬でよかった、今日が。 

ぐるぐる巻きのマフラーで顔を隠しながらおみくじを結んだ。

「青リクメンバーに良い事がある1年になるといいよね~!」

「は、またダセぇ名前付いたんだけど!やめろよ恥ずかしい!」

「マブ先輩俺も思います!」
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