#青春リクエスション
さっそくおみくじ守りの300円を用意した。

箱の隣に置いてある小さな賽銭箱に入れて、吟味に吟味を重ねてひとつ取り出した。

いざ…、ハート形のピンクのお守りでありますように!

というか、縁結びのお守りを買いに来たはずなのに全5種の中に縁結びはこれしかない。

なんとしてでも当たりますように…!

「あ、ピンクだ!」

隣で声が聞こえた、暁先輩の。

「俺星のやつでした!これ何のお守りですかね?…金運だ」

「貝殻の紫…、美容運ってそんなのもあるんだ」

「見て俺の!葉っぱの緑!健康運!」

「マブっぽ~~~~~!」

全5種を5人で引いてこれだけ被らない確率はすごいと思った。

「由夢は何だった?」

「私は…青色だった」

見事に全種類揃ったんだから。

「仕事運の青色とかいらないし~!」

いっちばん不必要なお守りだったけど。

「井住は縁結びが欲しかったんだもんな、俺の健康運で良けりゃ変えようか?」

「お気持ちはありがたいですが健康運もそんなに…」

「大事だぞ、健康第一だぞ!」

つるつるな表面のまるっとした青いお守り、手のひらに乗せてじーっと見つめる。

可愛いんだけどね、これはこれで。

でも…欲しかったなぁハート形のピンク。

「じゃあ俺と交換する?」

「…え」

スッと私の前に見せるように手に持った。

「でも…暁先輩、縁結び欲しかったんじゃないんですか?」

「え、別に。どれでもいいし、なんなら仕事運のがいいかな~」

そう言いながら私の手のひらに乗った丸型の青色のお守りと暁先輩が持つハート形のピンクのお守りを交換した。

「生徒会の仕事も、青春リクエスションの仕事も、上手くように願掛けしたいし!」

私の手のひらにはハート形のピンクのお守りがやって来た。

「…いいんですか?」

「いいよ、全然」

きゅっとお守りを握りしめた。

「ありがとうございますっ!」

嬉しい、絶対大事にする、一生大事にする、家宝にする!

いっぱい気持ちをお守りに込めた。

この思いが伝わって、いつか暁先輩にも伝わったらいいのに。

にこっと笑った暁先輩に、早く私の気持ち…

伝わったらいいな。

「…由夢」

「え、なに?凛空ちゃん」

「よかった…、ね」

「うん、ありがとう!嬉しい、すっごく!」




年が明けたらすぐに新学期が始まる。

新学期も楽しいことたくさんあるんだ、暁先輩がいたら。
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