#青春リクエスション
昨日の宿題だった、来年度の1年生歓迎会への生徒会としての出し物について。
今日も話し合いが行われる。
今日のホワイトボード係は凛空ちゃん。
それぞれが考えてきたことを言い合う中、結局何も出て来なかった上に全然それどころじゃなかった。
自分の席に座ってただみんなの話を聞いている。何も頭の中には入って来ない。
寧々、凹んでるだろうな…
あたりまえだよね、ずっとがんばって来たし、体調管理だって気を付けてたのに。
それなのに、私は何も言ってあげられることがない…
私の薄っぺらい励ましの言葉なんて何も意味がないよね…
「じゃあ、生徒会としてはそれで行こうと思う!賛成の人!」
暁先輩の呼びかけにみんなが一斉に手を上げた。それにハッとして勢いで合わせるように手を上げた。
「じゃあ全員賛成ってことで、決まりね」
やばい、全然聞いてなかった。
これなんで手上げてるんだろう?
わかんないけど、話し合いが終わってた。ホワイトボードを見たけど、凛空ちゃんは途中から何も書いてなかった。花絵先輩に怒られてた。
…何に決まったんだ?
「はい、次~!青春リクエスションについてなんだけど、マブよろしく」
何に決まったかわからないまま話し合いは次に進む。次こそちゃんと聞こうと姿勢を正した。
「おう、今来てるリクエストは…ん?なんだこれ」
タブレットを開いた馬渕先輩が眉間にしわを寄せた。
「何?どした?」
「いや…、なんかやたらバズってるのがあるんだけど。これ、見て」
トンっと馬渕先輩が指さしたタブレットに開かれたSpeaksの画面をみんなで覗き込んだ。
“全国高等学校新体操選抜大会なんかなくなればいいのに#青春リクエスション”
「え、これって…」
すぐにピンと来た。
これは寧々が出るはずだった大会だ。
「新体操選抜大会…、うちの新体操部が出るやつだよね?なくなればいいのにって随分卑屈な呟きだね」
「呟かれたのは30分ぐらい前、この短期間で100以上アクションが起きてる。今現在登録者数が256人の中でこれはかなり多いな」
「…これはまずいな」
暁先輩と馬渕先輩が話している。
この呟きの意図がわからなかった。
「ちなみに呟いたアカウントは、“nene_chika”」
「!?」
「それも随分わかりやすいアカウントだね、すぐ誰だかわかっちゃいそうな…」
そんなはずはない。
これじゃまるで…
「近澤さん?」
凛空ちゃんがぼそっと漏らした。
ドンッと大きな音を立てて立ち上がり、つい凛空ちゃんのことを睨んでしまった。
「違う!寧々じゃない!」
「あ、ごめん!そーゆうあれで言ったんじゃないけど、名前が、名前的に…なんかっ」
突然大きくなった私の声にみんながビックリしていた。
凛空ちゃんが申し訳なさそうに俯いた。
「由夢ちゃん、心当たりあるの?」
「心当たりっていうか…」
「何か知ってるなら、教えて」
静かに席に座った。
そして呼吸を整えてから話し始めた。
「あの…、友達なんです。近澤寧々って、新体操部の1年で唯一レギュラーの子なんですけど。昨日怪我しちゃったみたいで大会に出られなくなっちゃったんですよね」
「なるほど、それで腹いせにこの呟きを?」
「それは違います!寧々のアカウントは別にあるんで!私フォローしてますし、こないだパーティ☆チョコレートだってそのアカウントで参加してたから…絶対呟いたのは寧々じゃないですっ」
う~ん、の暁先輩が苦悶の表情を見せた。
「…これは生徒専用として作ったSpeaksの弊害、かもしれないなぁ」
「そうね、これは大きな問題になるわね。暁の責任は大きいわよ」
「わかってるよ、花絵ちゃん。でもどうしようかな~、俺に出来ることなんて大してないからなぁ」
「管理者としてこの呟きを消すことは簡単だけど、消したところでもう遅いだろうからな」
「それもそうなんだよね」
結局この日、この答えは出なかった。
先輩たちが話し合ってくれたけど、この問題はここで起きてる問題じゃないから解決しようがないって結論になった。
それもわからなくはないけど、私には納得できなかった。
今日も話し合いが行われる。
今日のホワイトボード係は凛空ちゃん。
それぞれが考えてきたことを言い合う中、結局何も出て来なかった上に全然それどころじゃなかった。
自分の席に座ってただみんなの話を聞いている。何も頭の中には入って来ない。
寧々、凹んでるだろうな…
あたりまえだよね、ずっとがんばって来たし、体調管理だって気を付けてたのに。
それなのに、私は何も言ってあげられることがない…
私の薄っぺらい励ましの言葉なんて何も意味がないよね…
「じゃあ、生徒会としてはそれで行こうと思う!賛成の人!」
暁先輩の呼びかけにみんなが一斉に手を上げた。それにハッとして勢いで合わせるように手を上げた。
「じゃあ全員賛成ってことで、決まりね」
やばい、全然聞いてなかった。
これなんで手上げてるんだろう?
わかんないけど、話し合いが終わってた。ホワイトボードを見たけど、凛空ちゃんは途中から何も書いてなかった。花絵先輩に怒られてた。
…何に決まったんだ?
「はい、次~!青春リクエスションについてなんだけど、マブよろしく」
何に決まったかわからないまま話し合いは次に進む。次こそちゃんと聞こうと姿勢を正した。
「おう、今来てるリクエストは…ん?なんだこれ」
タブレットを開いた馬渕先輩が眉間にしわを寄せた。
「何?どした?」
「いや…、なんかやたらバズってるのがあるんだけど。これ、見て」
トンっと馬渕先輩が指さしたタブレットに開かれたSpeaksの画面をみんなで覗き込んだ。
“全国高等学校新体操選抜大会なんかなくなればいいのに#青春リクエスション”
「え、これって…」
すぐにピンと来た。
これは寧々が出るはずだった大会だ。
「新体操選抜大会…、うちの新体操部が出るやつだよね?なくなればいいのにって随分卑屈な呟きだね」
「呟かれたのは30分ぐらい前、この短期間で100以上アクションが起きてる。今現在登録者数が256人の中でこれはかなり多いな」
「…これはまずいな」
暁先輩と馬渕先輩が話している。
この呟きの意図がわからなかった。
「ちなみに呟いたアカウントは、“nene_chika”」
「!?」
「それも随分わかりやすいアカウントだね、すぐ誰だかわかっちゃいそうな…」
そんなはずはない。
これじゃまるで…
「近澤さん?」
凛空ちゃんがぼそっと漏らした。
ドンッと大きな音を立てて立ち上がり、つい凛空ちゃんのことを睨んでしまった。
「違う!寧々じゃない!」
「あ、ごめん!そーゆうあれで言ったんじゃないけど、名前が、名前的に…なんかっ」
突然大きくなった私の声にみんながビックリしていた。
凛空ちゃんが申し訳なさそうに俯いた。
「由夢ちゃん、心当たりあるの?」
「心当たりっていうか…」
「何か知ってるなら、教えて」
静かに席に座った。
そして呼吸を整えてから話し始めた。
「あの…、友達なんです。近澤寧々って、新体操部の1年で唯一レギュラーの子なんですけど。昨日怪我しちゃったみたいで大会に出られなくなっちゃったんですよね」
「なるほど、それで腹いせにこの呟きを?」
「それは違います!寧々のアカウントは別にあるんで!私フォローしてますし、こないだパーティ☆チョコレートだってそのアカウントで参加してたから…絶対呟いたのは寧々じゃないですっ」
う~ん、の暁先輩が苦悶の表情を見せた。
「…これは生徒専用として作ったSpeaksの弊害、かもしれないなぁ」
「そうね、これは大きな問題になるわね。暁の責任は大きいわよ」
「わかってるよ、花絵ちゃん。でもどうしようかな~、俺に出来ることなんて大してないからなぁ」
「管理者としてこの呟きを消すことは簡単だけど、消したところでもう遅いだろうからな」
「それもそうなんだよね」
結局この日、この答えは出なかった。
先輩たちが話し合ってくれたけど、この問題はここで起きてる問題じゃないから解決しようがないって結論になった。
それもわからなくはないけど、私には納得できなかった。