#青春リクエスション
「由夢ちゃん、クッキーいる?チョコとプレーンどっちがいい?」
「…チョコでお願いします」
机に顔を伏せたまま、こもった声で答えると暁先輩が個包装のチョコクッキーを1つくれた。
「みんな遅いよねー、花絵ちゃんは図書室行くって言ってたし凛空くんは小テストの補講だっけ?マブは…何してんだ?」
生徒会室で暁先輩と2人きり、嬉しいはずなのに今の私はそれどころじゃない。
頭が重くて起き上がることもできない。
出るのはタメ息ばっかりで、どんどん沈んで行く。
「私はダメな人間です…」
寧々は今日も部活に行ってるのに。
自分の代わりに出てくれる百枝先輩が不安そうにしてるから力になりたいって…、寧々はどこまでも出来た人過ぎる。
それなのに私は…
「友達が困ってるのに何も出来ないんです。何もしてあげられなくて…」
はぁっと、またタメ息が出た。
あぁ、机が冷たい。
顔が冷える。
………。
…っ
「せめて!誰がやったか突き止めたいんですけど…っ」
何度目かの挑戦で、がばっと顔を起こし勢いのまま聞いてみたけど暁先輩はにこっと笑うだけで何も言ってくれなかった。
「なんでダメなんですかぁ?」
もう半泣きで、泣き落としで、そんなの暁先輩には聞きっこないのはわかっていたんだけど。
「てゆーか青リクの活動だって発言者特定できた方がやりやすくないですか?相手が誰だかわかることで出来ることも増えてきますよね!?」
プレーンクッキーを食べ終えた暁先輩はごくんとペットボトルのお茶を飲んだ。ふぅっと息を吐いて、私の方を見た。
「楽しいことをするのにわざわざ人を決めつける必要なんてないでしょ?」
「……。」
「みんなで楽しめば良いんだから、相手がどうとかそんなのなくても」
キュッとペットボトルの蓋を閉めて、机の上に置いた。
「…まぁでも実際は相手を特定すると必然とこっちも特定されるからね。それは問題起こしかねないし、トラブル減らすために特定しないのが大きいかな」
「…そうですか」
「今回の問題はSpeaksを作った俺の責任もあるのは確かだけど、ここで俺らが犯人を特定したところで今度は逆にその人が近澤さんと同じ目に合うことになる。もちろん自業自得ではあるけど、それって何の解決にもならないよね?」
暁先輩の言ってることはわかる。
新しい炎上のターゲットを見付けただけで、していることは一緒だ。
いくら自分が蒔いた種だとしても暁先輩はそんな場にしたくないって言ってるんだと思う。
でもそれだと寧々はどうなるの?
このまま寧々のせいで終わっていくの?
「でも俺たちとしては何も出来ないけど由夢ちゃんは出来るんじゃない?」
「え…?」
「やたら細かい指定のリクエストだったよね。大会の名前までちゃんと書いてあったし、あのアカウント名も。まるで近澤さんってみんなにすぐわからせたかったんじゃないかと思うぐらい」
「そうですね、…だから寧々が疑われたんですし」
生徒しか使えないSNSであんなハッキリ名前を出したらすぐに特定されてしまう。
しかも部活まで公表したら、誰にでも、すぐに。
「でも由夢ちゃんはすぐ気付いた、近澤さんじゃないって」
「そりゃわかりますよ!寧々とは友達なんで、1番仲良い親友なんで!」
「うん、だから“親友”の由夢ちゃんなら出来るんじゃない?」
「…チョコでお願いします」
机に顔を伏せたまま、こもった声で答えると暁先輩が個包装のチョコクッキーを1つくれた。
「みんな遅いよねー、花絵ちゃんは図書室行くって言ってたし凛空くんは小テストの補講だっけ?マブは…何してんだ?」
生徒会室で暁先輩と2人きり、嬉しいはずなのに今の私はそれどころじゃない。
頭が重くて起き上がることもできない。
出るのはタメ息ばっかりで、どんどん沈んで行く。
「私はダメな人間です…」
寧々は今日も部活に行ってるのに。
自分の代わりに出てくれる百枝先輩が不安そうにしてるから力になりたいって…、寧々はどこまでも出来た人過ぎる。
それなのに私は…
「友達が困ってるのに何も出来ないんです。何もしてあげられなくて…」
はぁっと、またタメ息が出た。
あぁ、机が冷たい。
顔が冷える。
………。
…っ
「せめて!誰がやったか突き止めたいんですけど…っ」
何度目かの挑戦で、がばっと顔を起こし勢いのまま聞いてみたけど暁先輩はにこっと笑うだけで何も言ってくれなかった。
「なんでダメなんですかぁ?」
もう半泣きで、泣き落としで、そんなの暁先輩には聞きっこないのはわかっていたんだけど。
「てゆーか青リクの活動だって発言者特定できた方がやりやすくないですか?相手が誰だかわかることで出来ることも増えてきますよね!?」
プレーンクッキーを食べ終えた暁先輩はごくんとペットボトルのお茶を飲んだ。ふぅっと息を吐いて、私の方を見た。
「楽しいことをするのにわざわざ人を決めつける必要なんてないでしょ?」
「……。」
「みんなで楽しめば良いんだから、相手がどうとかそんなのなくても」
キュッとペットボトルの蓋を閉めて、机の上に置いた。
「…まぁでも実際は相手を特定すると必然とこっちも特定されるからね。それは問題起こしかねないし、トラブル減らすために特定しないのが大きいかな」
「…そうですか」
「今回の問題はSpeaksを作った俺の責任もあるのは確かだけど、ここで俺らが犯人を特定したところで今度は逆にその人が近澤さんと同じ目に合うことになる。もちろん自業自得ではあるけど、それって何の解決にもならないよね?」
暁先輩の言ってることはわかる。
新しい炎上のターゲットを見付けただけで、していることは一緒だ。
いくら自分が蒔いた種だとしても暁先輩はそんな場にしたくないって言ってるんだと思う。
でもそれだと寧々はどうなるの?
このまま寧々のせいで終わっていくの?
「でも俺たちとしては何も出来ないけど由夢ちゃんは出来るんじゃない?」
「え…?」
「やたら細かい指定のリクエストだったよね。大会の名前までちゃんと書いてあったし、あのアカウント名も。まるで近澤さんってみんなにすぐわからせたかったんじゃないかと思うぐらい」
「そうですね、…だから寧々が疑われたんですし」
生徒しか使えないSNSであんなハッキリ名前を出したらすぐに特定されてしまう。
しかも部活まで公表したら、誰にでも、すぐに。
「でも由夢ちゃんはすぐ気付いた、近澤さんじゃないって」
「そりゃわかりますよ!寧々とは友達なんで、1番仲良い親友なんで!」
「うん、だから“親友”の由夢ちゃんなら出来るんじゃない?」