#青春リクエスション
「おはようございます、みなさん今日も1日がんばりましょう!」
暁先輩の声が響くうらうらとした春の日、あいさつ運動が始まった。くじ引きで決めた今日の担当は暁先輩と花絵先輩、校門前で2人が登校してきた生徒たちに呼びかけている。
「暁会長…、おはようございますっ」
「おはよう」
効果音で言うならキラキラ、爽やかな笑顔と、バックには花が飛んでるんじゃないかってぐらい破壊力のある朝だ。
あいさつをした子もしてない子も、キャーっと声が漏れてる。
スマイル・イズ・プライスレスとは言ったものだけど、プライスレスどころか払う。
ありったけ払う。払わせてくれ。
「由夢、おはよ~」
「あ、凛空ちゃんおはようっ」
「そんなとこで突っ立って何してんの?」
「いや…、暁先輩と花絵先輩の正反対なあいさつが気になって」
そんなまばゆい光を纏った暁先輩の隣でもくもくとあいさつしていく…
通称“鉄の女”藤代花絵。
「おはようございます」
一切乱れることなく、決してブレない、春だというのに何の陽気さも感じない。新入生の間にも鉄の女の噂が流れる寸前だ。
「あ。井住さん、有末くんおはよう」
あまりにじーっと見過ぎたのか花絵先輩からあいさつされてしまった。
「おはようございますっ」
「はよーございまーす!」
心なしか、みんな暁先輩よりで校門をくぐっていく。その気持ちもわからなくないけど、数ヶ月前の私ならそうしてたし。
「あいさつ運動お疲れ様です、大変ですか?」
「そんなことないわよ、ちょっと早く来るだけだから。明日は井住さんたちね、よろしくね」
明日は早起きしないとな、と思いながら歩き出そうとした。ぺこりと頭を下げて、教室に行こうとした時だった。
「藤代先輩笑ったら可愛いのにもったいないっすよ!」
凛空ちゃんが大きな声で言い放った。
えぇぇぇぇっ
このタイミングで!?
凛空ちゃんはたまに空気が読めないというか、素直すぎるというか、思ったことをすぐ口にするところがある。
「…っ!?」
ほら花絵先輩も困ってる!
まるで愛の告白のようなセリフにそこのいた生徒たちもざわつき出した。
頬を染めて恥ずかしそうに、それでいながら眉間にしわを寄せて、花絵先輩は困っていた。
「…可愛くないわよ」
「可愛いっすよ、にかって笑った時見える八重歯とか!」
「それコンプレックスなんだから言わないでくれる!?」
「絶対チャームポイントっすよ!」
……。
あ、そっか。
そーゆうことだったんだ。
気付かされた、今。
“俺は本当に可愛いって思ったからそう言っただけなんだけど、それが逆に傷付けちゃったみたいで”
花絵先輩はショックだったんですね、ずっとコンプレックスだった八重歯を暁先輩に見られたくなかった。
可愛いって言われたことを信じられなかった。
自分の嫌いな部分を相手が好きだなんて思うはずないから、そう思ってしまったんだ。
それだけ…
花絵先輩も暁先輩のことが好きだったんですね。
2人はずっと、想い合ってたんですね。
私の入る隙なんて最初からなかったんだ。
暁先輩の声が響くうらうらとした春の日、あいさつ運動が始まった。くじ引きで決めた今日の担当は暁先輩と花絵先輩、校門前で2人が登校してきた生徒たちに呼びかけている。
「暁会長…、おはようございますっ」
「おはよう」
効果音で言うならキラキラ、爽やかな笑顔と、バックには花が飛んでるんじゃないかってぐらい破壊力のある朝だ。
あいさつをした子もしてない子も、キャーっと声が漏れてる。
スマイル・イズ・プライスレスとは言ったものだけど、プライスレスどころか払う。
ありったけ払う。払わせてくれ。
「由夢、おはよ~」
「あ、凛空ちゃんおはようっ」
「そんなとこで突っ立って何してんの?」
「いや…、暁先輩と花絵先輩の正反対なあいさつが気になって」
そんなまばゆい光を纏った暁先輩の隣でもくもくとあいさつしていく…
通称“鉄の女”藤代花絵。
「おはようございます」
一切乱れることなく、決してブレない、春だというのに何の陽気さも感じない。新入生の間にも鉄の女の噂が流れる寸前だ。
「あ。井住さん、有末くんおはよう」
あまりにじーっと見過ぎたのか花絵先輩からあいさつされてしまった。
「おはようございますっ」
「はよーございまーす!」
心なしか、みんな暁先輩よりで校門をくぐっていく。その気持ちもわからなくないけど、数ヶ月前の私ならそうしてたし。
「あいさつ運動お疲れ様です、大変ですか?」
「そんなことないわよ、ちょっと早く来るだけだから。明日は井住さんたちね、よろしくね」
明日は早起きしないとな、と思いながら歩き出そうとした。ぺこりと頭を下げて、教室に行こうとした時だった。
「藤代先輩笑ったら可愛いのにもったいないっすよ!」
凛空ちゃんが大きな声で言い放った。
えぇぇぇぇっ
このタイミングで!?
凛空ちゃんはたまに空気が読めないというか、素直すぎるというか、思ったことをすぐ口にするところがある。
「…っ!?」
ほら花絵先輩も困ってる!
まるで愛の告白のようなセリフにそこのいた生徒たちもざわつき出した。
頬を染めて恥ずかしそうに、それでいながら眉間にしわを寄せて、花絵先輩は困っていた。
「…可愛くないわよ」
「可愛いっすよ、にかって笑った時見える八重歯とか!」
「それコンプレックスなんだから言わないでくれる!?」
「絶対チャームポイントっすよ!」
……。
あ、そっか。
そーゆうことだったんだ。
気付かされた、今。
“俺は本当に可愛いって思ったからそう言っただけなんだけど、それが逆に傷付けちゃったみたいで”
花絵先輩はショックだったんですね、ずっとコンプレックスだった八重歯を暁先輩に見られたくなかった。
可愛いって言われたことを信じられなかった。
自分の嫌いな部分を相手が好きだなんて思うはずないから、そう思ってしまったんだ。
それだけ…
花絵先輩も暁先輩のことが好きだったんですね。
2人はずっと、想い合ってたんですね。
私の入る隙なんて最初からなかったんだ。