神様が私の願いを最後に叶えてくれるなら


 白一色で地味だけど、見た目もよく肌触りも心地いい。


 たまに型くずれしてる場所もあるけど、既製品とちがって心を込めた一品物。

 多少の見栄えは、春樹だって勘弁してくれるよね。


「そうだ……」


 完成した毛糸のマフラーを春樹にプレゼントする前に、自分の首へ巻いてみよう。

 私は部屋を出て、廊下の壁に掛けてある大きな鏡の前に立った。


 編み終わったばかりの手作りマフラーを自分の首にさっそく巻いてみる。

 ニヤニヤしながら笑顔で何度も頬摺りして、気持ちのいい感触を楽しんでいた。

 そんな至福の時間を楽しんでいた最中、私の背中に悪寒が走る。


 ふと鏡を見ると、鏡越しに私の姿を背後から見つめる妹が無言で立っていた……



「愛奈、アンタいつからそこにいたのよ!」




< 14 / 39 >

この作品をシェア

pagetop