神様が私の願いを最後に叶えてくれるなら


 驚きと恥ずかしさで、思わず強い口調になってしまった。


 あわてて振り返り妹を見つめると、無表情でその場に立ち尽くしてる。

 目を大きく見開き、口を真一文字に噤んだまま何も言い返してこない。


「ちょっと、怒ってるの……」


 目の焦点が合ってないし、瞳孔が開いてる。

 長年いっしょに生活してきた姉の私は、妹の表情を見てすぐに分かった。

 怒りを制御しながらキレてる様子で、ちょっと怖い。


 以前も同じような無表情の冷たい態度で、妹が私を睨むように見つめてきたことがある。

 あの時の出来事を、トラウマのように思い出してしまう……



 貸していた本を返してもらうため、妹の部屋へ無断で入ったことがある。

 学習机の上に置かれた私の本を手で掴み、静かに持ち上げると一枚の写真が置いてあった。


 私と春樹が、笑顔で楽しそうに写ってる。



 でも、よく見ると……




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