神様が私の願いを最後に叶えてくれるなら


 たどり着いた場所は墓地だった。


 しかも、私の目の前には先祖代々のお墓がある。


 お爺ちゃんとお婆ちゃん、去年の暮れに死んだペットの愛犬マメも眠ってる場所。

 マメは大型犬のゴールデンレトリバーで、子犬で家に来た時は小さかったけど……


 見た目が小さいから名前をマメって名付けたんだけど、すぐに大きく成長して大騒ぎ。

 散歩の時も楽しくて、すごく仲が良かったのを思い出す。


「マメ、天国で元気に走り回ってるかな……」


 墓石を目の前にして、私は制服姿のまま昔の思い出を脳裏に浮かべてる。

 なぜか、自分でも分からないけど、この場から離れることができない。


 事故で死んだ交差点の時のように、私は立ち尽くしてる。

 何日も、何日も……




 数日たった昼下がりのこと。


 不意に、春樹が姿を見せた。








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