神様が私の願いを最後に叶えてくれるなら
6.神様が私の願いを最後に叶えてくれるなら
二月になって、新春の豆まきが終わったぐらいの時期。
不意に春樹が姿を見せたけど、妹の姿は近くにない。
どうしてなのかと、彼から姿の見えない幽霊の私は考える……
そうだ、私が交通事故で死んでから今日で四十九日だ。
学校の制服姿の春樹は、私が手編みした毛糸のマフラーを首に巻いてる。
「二月だけど寒いよね、風邪に気をつけてほしいのだけど……」
私の声は聞こえないと分かってても、思わず体を近づけ話かけてしまう。
春樹は墓石を見つめるだけで、手を合わせない。
すぐ横に並んで様子を見つめてる私は、首を傾げて不思議顔。
彼の視線の先には、墓石に刻まれた私の名前がある。
どうしたんだろうと、春樹に視線を向けていると……
その手に、生前の私が書いた手紙を持っていた。