大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ！

　人に聞かれてはまずい話かと顔を寄せた修太郎(しゅうたろう)に、やや低めた声音で佳穂が言った。

「〝ボンキュッボン〟のナイスバディーな私には和装、似合いそうになかったんだもの」

　わざと日頃使わないような言葉を織り混ぜて、クスッと悪戯っぽく笑った佳穂に、和装を誉められまくっている日織(ひおり)の体型がそうではないと言われたように感じた修太郎は、ムスッとして冷ややかに言い放つ。

「何をバカなことを。〝僕の妻〟の方が、佳穂よりは数倍〝魅力的〟だと思うけどね？」

　それでも、佳穂に負けず劣らずのボンキュッボンだ、とは言えなかった修太郎だ。

　悔しいかな、佳穂は彼女が自称するように胸が大きくてメリハリのあるモデル体型だったから。

　そこは日織に対して、心の中で「すみません」と謝りつつ、修太郎はあの大き過ぎない、小ぶりな日織の胸が好きなのだとひとりにやけそうになる。

　何度抱いても日織の身体は魅力的で、決して飽きがこない。

　きっとそれは胸の大きさとかお尻の大きさとか……そういう質感的なものとは別次元の話なのだ。