大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
「体調に問題がないんならいいんだ」
自分の前に置かれたブラックコーヒーをひと口飲みながら修太郎が言えば、佳穂がクスッと笑って。
「で、さっきの話。何で今日は日織ちゃんと一緒じゃないの?」
何度はぐらかしても結局佳穂はこの話題をスルーしてくれるつもりはないらしい。
修太郎は吐息と共に覚悟を決めた。
「今、日織さんは同級生のやっている酒蔵へ行ってるんだ」
「酒蔵へ? 何しに?」
まさかお使いじゃないよね?と付け加えられて、「当たり前だろ」と思った修太郎だ。
(酒を買いに行ってくれただけならどんなにいいか――)
そこまで考えて、「まぁその場合は日織さんをひとりで行かせるとか有り得ませんけどね」と即座に思う。
(そうじゃないから困ってるんだ)
思わず舌打ちしたい気分になって、修太郎は手にしたコーヒーをひと口飲んで一呼吸分冷静になる時間を取った。
「――来週末に市の主催で地元の酒蔵を集めた酒蔵祭りがある。日織さんはそこに出店する『羽住酒造』の売り子をすることになってるんだ」
自分の前に置かれたブラックコーヒーをひと口飲みながら修太郎が言えば、佳穂がクスッと笑って。
「で、さっきの話。何で今日は日織ちゃんと一緒じゃないの?」
何度はぐらかしても結局佳穂はこの話題をスルーしてくれるつもりはないらしい。
修太郎は吐息と共に覚悟を決めた。
「今、日織さんは同級生のやっている酒蔵へ行ってるんだ」
「酒蔵へ? 何しに?」
まさかお使いじゃないよね?と付け加えられて、「当たり前だろ」と思った修太郎だ。
(酒を買いに行ってくれただけならどんなにいいか――)
そこまで考えて、「まぁその場合は日織さんをひとりで行かせるとか有り得ませんけどね」と即座に思う。
(そうじゃないから困ってるんだ)
思わず舌打ちしたい気分になって、修太郎は手にしたコーヒーをひと口飲んで一呼吸分冷静になる時間を取った。
「――来週末に市の主催で地元の酒蔵を集めた酒蔵祭りがある。日織さんはそこに出店する『羽住酒造』の売り子をすることになってるんだ」