大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
自分の勤めている課――都市計画課――とは無縁の行事だったから失念していたが、観光課の主催でそんな催し物をやるとお触れが回ってきていたのを、日織の話を聞くうちに思い出した修太郎だ。
思い出した途端、己も身を置く市役所の連中の〝仕業〟だったかと憎々しく思ったのは言うまでもない。
ましてや絡みのない課が取り仕切るというのがまた気に入らなかった。
自分の預かり知ったところでの行事なら、少しは売り子をする日織に干渉しやすいのに、と思った。
「何もこのクソ寒い時期にやらなくてもいいと思うんだけどね――」
せめてもの抵抗みたいに付け加えたら、憎々しさに自分でも眉間に皺が寄ったのが分かった。
だけど、本音では日織をそこへ行かせたくないのだから仕方がない。
「わぁー。めちゃくちゃ不満そうな顔ね」
修太郎の表情に目ざとく気付いた佳穂が、「そんなトコに縦皺寄せてたら取れなくなっちゃうわよ?」と言いながらカップ越しに修太郎を見遣る。
「僕だってこんな顔、したくてしてるわけじゃない。ただ――」
思い出した途端、己も身を置く市役所の連中の〝仕業〟だったかと憎々しく思ったのは言うまでもない。
ましてや絡みのない課が取り仕切るというのがまた気に入らなかった。
自分の預かり知ったところでの行事なら、少しは売り子をする日織に干渉しやすいのに、と思った。
「何もこのクソ寒い時期にやらなくてもいいと思うんだけどね――」
せめてもの抵抗みたいに付け加えたら、憎々しさに自分でも眉間に皺が寄ったのが分かった。
だけど、本音では日織をそこへ行かせたくないのだから仕方がない。
「わぁー。めちゃくちゃ不満そうな顔ね」
修太郎の表情に目ざとく気付いた佳穂が、「そんなトコに縦皺寄せてたら取れなくなっちゃうわよ?」と言いながらカップ越しに修太郎を見遣る。
「僕だってこんな顔、したくてしてるわけじゃない。ただ――」