大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
10.羽住一斗という男
羽住酒造は、日織の家と同じ小学校区内ということもあって、徒歩三十分圏内に位置していた。
それで、歩いて行こうかな?と思っていた日織だったけれど、母・織子が、「日織ちゃん、今日は寒いわよ?」と眉根を寄せて。
それを聞きつけた父・日之進が「送って行ってやろう」と車の鍵を手にしたため「ばっ、バスで行くので大丈夫ですっ」と答えて大慌てで家を飛び出してしまった。
折角修太郎からの『お送りしましょうか?』という厚意を断って自力で行き着くぞ!と決めたのに、父親に送ってもらったのでは意味がない。
しかしながら、白い裏起毛のスウェットにジーンズを履き、その上に厚手のチェック柄ハーフコートを羽織って、マフラーまで巻いて外に飛び出した日織が実際に最寄りのバス停まで行ってみると、一時間に一本ずつしか来ない路線では、とてもじゃないけど約束の時間に間に合いそうな便がなくて。
それで、歩いて行こうかな?と思っていた日織だったけれど、母・織子が、「日織ちゃん、今日は寒いわよ?」と眉根を寄せて。
それを聞きつけた父・日之進が「送って行ってやろう」と車の鍵を手にしたため「ばっ、バスで行くので大丈夫ですっ」と答えて大慌てで家を飛び出してしまった。
折角修太郎からの『お送りしましょうか?』という厚意を断って自力で行き着くぞ!と決めたのに、父親に送ってもらったのでは意味がない。
しかしながら、白い裏起毛のスウェットにジーンズを履き、その上に厚手のチェック柄ハーフコートを羽織って、マフラーまで巻いて外に飛び出した日織が実際に最寄りのバス停まで行ってみると、一時間に一本ずつしか来ない路線では、とてもじゃないけど約束の時間に間に合いそうな便がなくて。