大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
今日は土曜日。
十升は、あの男は役所勤めだと日織から聞いたことがある。だとすれば今日は休みだろうに、溺愛してやまない妻を送りもしないとか「旦那、病気か何かか?」と続けようとして。
でも下手に話題に出したら、何となくそこいら辺りから〝出てきそう〟な気がして、急遽路線変更をした。
修太郎がいたら、「僕は幽霊か何かですか」と確実に睨まれそうなことを思ってしまったと気付けないところが、十升らしい。
「お前ん家からうちまでの間に、そんなアレコレ妄想するようなもんあったっけ?」
結果無難なことを聞いた十升に、日織が目をキラキラ輝かせた。
「道すがら、たくさんのお花を見たのですっ。私、サザンカの花を見て、頭の中で思わず落ち葉焚きをしてしまいましたっ!」
そこでふんわり嬉しげに微笑んだ日織に、「焼き芋もホクホクに焼けて美味しそうでした!」と続けられた十升は、「は? お前、道端で芋焼いて食ったのか?」と思わず聞いてしまって、「そっ、そんなわけないのです! 妄想なのですっ」と即答されてしまった。
十升は、あの男は役所勤めだと日織から聞いたことがある。だとすれば今日は休みだろうに、溺愛してやまない妻を送りもしないとか「旦那、病気か何かか?」と続けようとして。
でも下手に話題に出したら、何となくそこいら辺りから〝出てきそう〟な気がして、急遽路線変更をした。
修太郎がいたら、「僕は幽霊か何かですか」と確実に睨まれそうなことを思ってしまったと気付けないところが、十升らしい。
「お前ん家からうちまでの間に、そんなアレコレ妄想するようなもんあったっけ?」
結果無難なことを聞いた十升に、日織が目をキラキラ輝かせた。
「道すがら、たくさんのお花を見たのですっ。私、サザンカの花を見て、頭の中で思わず落ち葉焚きをしてしまいましたっ!」
そこでふんわり嬉しげに微笑んだ日織に、「焼き芋もホクホクに焼けて美味しそうでした!」と続けられた十升は、「は? お前、道端で芋焼いて食ったのか?」と思わず聞いてしまって、「そっ、そんなわけないのです! 妄想なのですっ」と即答されてしまった。