大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
日織(ひおり)さん、貴女の……というより僕らのお義父さんは木を扱う仕事をしておられます」

 詳しいことは、(もしも知りたいと思われたなら)日織さんご自身が直接日之進氏にお尋ねになられたらいいと思った修太郎は、『藤原木材』の仕事内容について、多くを語ろうとは思わなかった。


 いわゆる「製材所」を営む日之進の会社は、近隣の森林組合で丸太を落札し、建築資材として加工したのちに客先へ納品するといった仕事で生計を立てている。

 工程をざっと述べると、
 森林組合の競りで落札した丸太を自社・または契約している運送会社のトラックに乗せて藤原木材(製材所)まで持ち帰る。
 持ち帰った丸太の皮を剥いて、一般的な建築資材の大きさに製材する。
 出来上がった製品を乾燥センターに持ち込み、そこでしっかりと乾燥させる。
 乾燥させた木材をプレナ加工機という機材で均一な大きさに整える。
 出来上がった建築資材を、トラックに乗せて客の元へ納品する。
 といった感じだ。


「木を……」

 修太郎の言葉に、小さくそうつぶやいてから口元に手を当てて考え込むような仕草をする日織が可愛くて、「この子は次にどんなことを言ってくるんだろう?」と、修太郎は内心ワクワクした。
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