大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
いかにも鉛筆などを耳輪に乗っけた酒屋の店主なんかが、汚れ防止のために腰に巻いていて「へい、いらっしゃい。何にいたしやしょう?」などと揉み手していたら似合いそうなやつですね!?と思ってしまった修太郎だ。
何せ日織がして見せてくれているくだんの前掛けは、愛らしいフリル付きでもなければ清純可憐なイメージの白でもなく。
濃紺の硫化染めの帆布に、これまた豪胆な筆致で『純米吟醸 波澄』と白抜き文字が描かれているものだったのだから。
しかし、考えてみれば日織はちゃんと修太郎に言ったのだ。「羽住くん〝お父様から〟いただいた〟素敵なエプロンなのだ」と。
酒造でもらった品なのだから、メイド喫茶のようなエプロンを想像する方がおかしかったではないか。
「あ、あのっ。もしかして変ですか?」
前掛けをして嬉しそうにクルクル回って見せてくれていた日織が、修太郎の顔が曇っていることに気が付いて不安そうに眉根を寄せる。
「あっ。ひょっとして巻き方が違ったりします?」
あくまでもその前掛けのフォルムに問題があるのだと思い至らないところが日織らしくて、修太郎は思わず笑ってしまった。
何せ日織がして見せてくれているくだんの前掛けは、愛らしいフリル付きでもなければ清純可憐なイメージの白でもなく。
濃紺の硫化染めの帆布に、これまた豪胆な筆致で『純米吟醸 波澄』と白抜き文字が描かれているものだったのだから。
しかし、考えてみれば日織はちゃんと修太郎に言ったのだ。「羽住くん〝お父様から〟いただいた〟素敵なエプロンなのだ」と。
酒造でもらった品なのだから、メイド喫茶のようなエプロンを想像する方がおかしかったではないか。
「あ、あのっ。もしかして変ですか?」
前掛けをして嬉しそうにクルクル回って見せてくれていた日織が、修太郎の顔が曇っていることに気が付いて不安そうに眉根を寄せる。
「あっ。ひょっとして巻き方が違ったりします?」
あくまでもその前掛けのフォルムに問題があるのだと思い至らないところが日織らしくて、修太郎は思わず笑ってしまった。