大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
***
研修二日目――。
今日は前みたいにあちこちで妄想に囚われず、約束の時間より少し早めに羽住酒造に辿り着けた日織だ。
初日に、善蔵からのプレゼントの前掛けとは別に手渡されていた法被を羽織って販売所に顔を出した日織に、善蔵が言った。
「経営のことは少しずつこいつに任せるようにしてるから。日織ちゃんの研修も基本的には一斗に任せようかなって思ってるんだけど……いいかな?」
「よろしくね、日織ちゃん」
先日同様和装を卒なく着こなした一斗にニッコリ微笑まれて、日織はビシッと背筋を伸ばした。
「もっ、もちろんなのですっ! よろしくお願いしますっ!」
まるで小学生児童が先生にするみたいな従順そのものなその仕草に、一斗がクスクス笑って。
善蔵が「そんなにしゃっちょこ張らんでも相手は一斗だから大丈夫だよ」と声を掛けてくれた。
「でもっ。先生は先生なのでっ!」
それでも日織は譲るつもりはないらしい。
言って、「一斗さんもそのつもりで私のこと、ビシバシ鍛えていただきたいのですっ!」とカウンター向こうの一斗へと身を乗り出して見せる。
「わー。これは僕も責任重大だぁ」
そんな日織に、一斗はあくまでもマイペースに微笑むと、「じゃあ、始めようか」と〝授業〟開始の宣言をした。
研修二日目――。
今日は前みたいにあちこちで妄想に囚われず、約束の時間より少し早めに羽住酒造に辿り着けた日織だ。
初日に、善蔵からのプレゼントの前掛けとは別に手渡されていた法被を羽織って販売所に顔を出した日織に、善蔵が言った。
「経営のことは少しずつこいつに任せるようにしてるから。日織ちゃんの研修も基本的には一斗に任せようかなって思ってるんだけど……いいかな?」
「よろしくね、日織ちゃん」
先日同様和装を卒なく着こなした一斗にニッコリ微笑まれて、日織はビシッと背筋を伸ばした。
「もっ、もちろんなのですっ! よろしくお願いしますっ!」
まるで小学生児童が先生にするみたいな従順そのものなその仕草に、一斗がクスクス笑って。
善蔵が「そんなにしゃっちょこ張らんでも相手は一斗だから大丈夫だよ」と声を掛けてくれた。
「でもっ。先生は先生なのでっ!」
それでも日織は譲るつもりはないらしい。
言って、「一斗さんもそのつもりで私のこと、ビシバシ鍛えていただきたいのですっ!」とカウンター向こうの一斗へと身を乗り出して見せる。
「わー。これは僕も責任重大だぁ」
そんな日織に、一斗はあくまでもマイペースに微笑むと、「じゃあ、始めようか」と〝授業〟開始の宣言をした。