大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
「もぉ、修太郎さんったら……い、いきなりびっくりしたのですっ。――私、自分でシートベルトを付けられないほど疲れてはいないのにっ。本当甘々さんな困ったちゃんなのです」
一気にそこまでまくし立てると、こらえ切れないみたいにクスクス笑って。
シートベルトをつけ終わって自分から離れようとする修太郎の服をギュッと握ると、「でも……実は私っ、修太郎さんに甘やかされるの、嫌いじゃないのですっ。というよりむしろ大歓迎なのです……。ご、ご存知でしたか?」と修太郎の耳元、囁くようにくすぐったいセリフを落とした。
修太郎はここが羽住酒造の前で、一斗が未だにこちらを見ている可能性があるというのも失念して、日織を無茶苦茶にかき乱したくなってしまった。
予測不能の猪突猛進娘は、時折こんなふうにTPOなんて完全無視で、修太郎の理性を吹っ飛ばそうとしてくるから本当に危険なのだ。
***
「日織、あとで目一杯甘やかしてさしあげますので、とりあえず今は離して?」
修太郎がなけなしの理性を総動員して日織にそうお願いすると、日織がピクッと身体を震わせて、「約束なのですっ」と期待に潤んだ瞳で修太郎を見上げてきて。
それがまた色っぽくて、修太郎は心の中、「だから日織さん!」と、無自覚に自分を煽りまくってくる愛らしい妻に駄目出しをする。
「覚悟しておいてくださいね」
色々と――。
そう付け加えたことは内緒だ。
一気にそこまでまくし立てると、こらえ切れないみたいにクスクス笑って。
シートベルトをつけ終わって自分から離れようとする修太郎の服をギュッと握ると、「でも……実は私っ、修太郎さんに甘やかされるの、嫌いじゃないのですっ。というよりむしろ大歓迎なのです……。ご、ご存知でしたか?」と修太郎の耳元、囁くようにくすぐったいセリフを落とした。
修太郎はここが羽住酒造の前で、一斗が未だにこちらを見ている可能性があるというのも失念して、日織を無茶苦茶にかき乱したくなってしまった。
予測不能の猪突猛進娘は、時折こんなふうにTPOなんて完全無視で、修太郎の理性を吹っ飛ばそうとしてくるから本当に危険なのだ。
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「日織、あとで目一杯甘やかしてさしあげますので、とりあえず今は離して?」
修太郎がなけなしの理性を総動員して日織にそうお願いすると、日織がピクッと身体を震わせて、「約束なのですっ」と期待に潤んだ瞳で修太郎を見上げてきて。
それがまた色っぽくて、修太郎は心の中、「だから日織さん!」と、無自覚に自分を煽りまくってくる愛らしい妻に駄目出しをする。
「覚悟しておいてくださいね」
色々と――。
そう付け加えたことは内緒だ。