大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
「あったかテックの上に着たニットに貼り付けてあるんですよ? 大丈夫なのですっ」

 言っても、「いや、でももう一枚ぐらい何かあるところの方が」とか。

 そんなところに貼り付けたら羽織った薄手のパーカーの上。外から丸見えになってしまうのだが、修太郎はそんなのお構いなし。

 下手したら、その上に着る法被(はっぴ)に貼り付けられたんでもいいんじゃないですか?などと突飛なことさえ言いかねない勢いだ。


「修太郎さんは本当心配性なのですっ。私、赤ちゃんじゃないんですから熱かったらちゃんとはがしますよ?」

 クスッと笑う日織(ひおり)に、修太郎は「日織さんの綺麗な肌が火傷とかなさったら大変でしょう!」と言い募る。

「暖かくしましたか?とお聞きになられたかと思ったら今度は火傷の心配とか。修太郎さん、少し落ち着いてください!」

 とうとうぷぅっと頬を膨らませた日織にたしなめられてしまった修太郎だ。

 それでもソワソワ落ち着かない様子でハンドルを握ったまま助手席に座った妻をチラチラと窺い見て。
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