大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
***
「では、行ってまいりますねっ」
河川敷に到着して。
まだイベントが始まる前だったからだろう。案外すんなりすぐそばの駐車場まで車を入れることが出来た。
このままここに駐車しておいても構わないのだけれど、せっかくだから日織に酒を〝振る舞われたい〟修太郎だ。
車は一旦マンションに置きに帰る算段になっている。
その後、バスかタクシーで戻って来て、日織と再会を果たす予定だ。
そう心に決めたはずなのに、いざ日織が車から降りるとなると、つい引き止めたくなってしまう往生際の悪さはしっかりと健在らしい。
「あっ、あのっ、日織さんっ!」
車から降りようとドアハンドルに手をかけた日織を呼び止めると、
「か、髪っ! 下ろしておかれた方が首筋、温かくないですか?」
などとこの期に及んでどうでもいい提案を投げ掛けてみたり。
今日の日織は――と言うより羽住酒造へバイトに行くときはいつも――髪の毛を後ろでひとつに束ねてポニーテールにしている日織だ。
色素の薄い髪の毛が、日織が頭を動かすたびに勢いよく揺れる様が可愛くていい。
いいのだけれど――。
「では、行ってまいりますねっ」
河川敷に到着して。
まだイベントが始まる前だったからだろう。案外すんなりすぐそばの駐車場まで車を入れることが出来た。
このままここに駐車しておいても構わないのだけれど、せっかくだから日織に酒を〝振る舞われたい〟修太郎だ。
車は一旦マンションに置きに帰る算段になっている。
その後、バスかタクシーで戻って来て、日織と再会を果たす予定だ。
そう心に決めたはずなのに、いざ日織が車から降りるとなると、つい引き止めたくなってしまう往生際の悪さはしっかりと健在らしい。
「あっ、あのっ、日織さんっ!」
車から降りようとドアハンドルに手をかけた日織を呼び止めると、
「か、髪っ! 下ろしておかれた方が首筋、温かくないですか?」
などとこの期に及んでどうでもいい提案を投げ掛けてみたり。
今日の日織は――と言うより羽住酒造へバイトに行くときはいつも――髪の毛を後ろでひとつに束ねてポニーテールにしている日織だ。
色素の薄い髪の毛が、日織が頭を動かすたびに勢いよく揺れる様が可愛くていい。
いいのだけれど――。