大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
***
修太郎がマンションに車を置いて市営バスでイベント会場に戻ってきた時、羽住酒造のブースは大盛況だった。
結果、修太郎は遠巻きに法被姿の愛妻が忙しく酒を振る舞う姿を眺めている。
もちろん自分自身も客として日織から利き酒を振る舞ってもらいはしたのだけれど、まさか祭りの間中、羽住《はすみ》酒造のブースに付きっきりでくっ付いているわけにもいかなくて。
修太郎の視線の先、日織のそばには以前彼女の同窓会会場で見かけた生意気男――羽住十升と、先日蔵元で見かけた和装眼鏡男――一斗の姿があった。
けれど、その二人のみに囲まれているわけではない。
彼らの他にも年輩の男性――羽住兄弟の父親だろうか――や、酒蔵の職人たちと見られる他の面々も居て。
十升や一斗のどちらかと二人きりでいたりしたら気になったかも知れないけれど、あれだけワチャワチャしていたら逆に気にならないものだな、と思った修太郎だ。
修太郎がマンションに車を置いて市営バスでイベント会場に戻ってきた時、羽住酒造のブースは大盛況だった。
結果、修太郎は遠巻きに法被姿の愛妻が忙しく酒を振る舞う姿を眺めている。
もちろん自分自身も客として日織から利き酒を振る舞ってもらいはしたのだけれど、まさか祭りの間中、羽住《はすみ》酒造のブースに付きっきりでくっ付いているわけにもいかなくて。
修太郎の視線の先、日織のそばには以前彼女の同窓会会場で見かけた生意気男――羽住十升と、先日蔵元で見かけた和装眼鏡男――一斗の姿があった。
けれど、その二人のみに囲まれているわけではない。
彼らの他にも年輩の男性――羽住兄弟の父親だろうか――や、酒蔵の職人たちと見られる他の面々も居て。
十升や一斗のどちらかと二人きりでいたりしたら気になったかも知れないけれど、あれだけワチャワチャしていたら逆に気にならないものだな、と思った修太郎だ。