大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
1.修太郎さん、まだお話がっ*
「修太郎さん、あの……」
恐る恐るといった雰囲気で日織が差し出してきた紙片に、修太郎は外していた眼鏡をベッドの宮棚から取り上げて掛ける。
別に老眼ではないので、裸眼でも近くの書類なら難なく見えるのだけれど、何となくの癖というやつだ。
先程まで修太郎とふたり、一緒のベッドで眠っていたはずの日織なのに、いつの間に布団を抜け出したのだろう。
修太郎はまだ、布団の下は素っ裸のままだというのに。
半身を起こしてベッドに腰掛けて眼鏡をかけたついで。
クリアになった視界で愛する妻を見上げれば、
「あ、あのっ、見ていただきたいのはこっちなのですっ」
修太郎の半裸にか、はたまた自分自身の格好にだろうか。日織が懸命に服の裾を引っ張り下げるような仕草をしながら恥ずかしそうにモジモジする。
これは恐らく後者の要因が強そうだ。
まるで照れ隠しみたいに手にしていた葉書を押し付けて視線を揺らせる日織に、
「どうして? 僕のシャツをお召しになった日織さん、すごく愛らしいのに」
週末の今日。
とあるイベントに合わせて、日織は久々に修太郎のマンションに泊まりに来ている。
2月の半ば。
少しずつ少しずつ春に向かって準備を進めているみたいに、日中時折日差しが温む日もあるのだけれど、基本的にはまだまだ寒さが厳しい折り。
いつもならフワフワモコモコの愛らしいパジャマを用意している日織なのだけれど、あいにくそれは昨夜修太郎がいたずらをしてダメにしてしまった。
というのも。
恐る恐るといった雰囲気で日織が差し出してきた紙片に、修太郎は外していた眼鏡をベッドの宮棚から取り上げて掛ける。
別に老眼ではないので、裸眼でも近くの書類なら難なく見えるのだけれど、何となくの癖というやつだ。
先程まで修太郎とふたり、一緒のベッドで眠っていたはずの日織なのに、いつの間に布団を抜け出したのだろう。
修太郎はまだ、布団の下は素っ裸のままだというのに。
半身を起こしてベッドに腰掛けて眼鏡をかけたついで。
クリアになった視界で愛する妻を見上げれば、
「あ、あのっ、見ていただきたいのはこっちなのですっ」
修太郎の半裸にか、はたまた自分自身の格好にだろうか。日織が懸命に服の裾を引っ張り下げるような仕草をしながら恥ずかしそうにモジモジする。
これは恐らく後者の要因が強そうだ。
まるで照れ隠しみたいに手にしていた葉書を押し付けて視線を揺らせる日織に、
「どうして? 僕のシャツをお召しになった日織さん、すごく愛らしいのに」
週末の今日。
とあるイベントに合わせて、日織は久々に修太郎のマンションに泊まりに来ている。
2月の半ば。
少しずつ少しずつ春に向かって準備を進めているみたいに、日中時折日差しが温む日もあるのだけれど、基本的にはまだまだ寒さが厳しい折り。
いつもならフワフワモコモコの愛らしいパジャマを用意している日織なのだけれど、あいにくそれは昨夜修太郎がいたずらをしてダメにしてしまった。
というのも。