大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
理人は葵咲が望むなら、もう〝ちゃんと〟しなくてもいいんじゃないかと思い始めていたりする。
(僕も大概流されやすいよね)
実際修太郎たちふたりを見ていると、そんな気持ちにさせられるから不思議だ。
「――私ね、来年の三月には大学卒業するの」
いま、葵咲は満二一歳。
そうして今日は六月十一日(土曜日)の大安吉日だ。
日織も六月生まれだけれど、実は葵咲もそうで。
二四日に満二三歳になる日織を追うように、葵咲も月末の三〇日に満二二歳になる。
「就職はね、うちの大学の事務に内々定をもらってる」
「えっ⁉︎ ちょっと待って、葵咲っ! そんな話、僕、聞いてないよ⁉︎」
「うん、いま初めて言ったもん」
小さく吐息を落とす葵咲に、理人はオロオロしまくりで。
正面からその様を眺めている日織と修太郎も、突然の予期せぬ事態に口を挟むことが出来なくて静観するしかない。
修太郎の横で、日織がそっとデキャンタを手にしてトクトクと手酌で自分のグラスを満たしていることに、誰も気付けないくらい、葵咲の言葉は場の空気を制していた。
(僕も大概流されやすいよね)
実際修太郎たちふたりを見ていると、そんな気持ちにさせられるから不思議だ。
「――私ね、来年の三月には大学卒業するの」
いま、葵咲は満二一歳。
そうして今日は六月十一日(土曜日)の大安吉日だ。
日織も六月生まれだけれど、実は葵咲もそうで。
二四日に満二三歳になる日織を追うように、葵咲も月末の三〇日に満二二歳になる。
「就職はね、うちの大学の事務に内々定をもらってる」
「えっ⁉︎ ちょっと待って、葵咲っ! そんな話、僕、聞いてないよ⁉︎」
「うん、いま初めて言ったもん」
小さく吐息を落とす葵咲に、理人はオロオロしまくりで。
正面からその様を眺めている日織と修太郎も、突然の予期せぬ事態に口を挟むことが出来なくて静観するしかない。
修太郎の横で、日織がそっとデキャンタを手にしてトクトクと手酌で自分のグラスを満たしていることに、誰も気付けないくらい、葵咲の言葉は場の空気を制していた。