大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
3.今の男は誰ですか?
「二次会に行く人はこのまま私たちについて来て下さぁ〜い!」

 会が始まって2時間ちょっとが過ぎた頃、チリンチリンという呼び鈴の音が場内に鳴り響いた。

 高く澄んだその音は、あちこちで盛り上がっていた談笑を途切れさせるには十分で、一瞬シン……と静まり返った隙を逃さず、よく通る女性の声が会場中に響き渡る。

 日織(ひおり)は彼女の名前を覚えてはいなかったけれど、多分学級委員とかやってくれていた女の子だよね、と思って。

「玉田だよ。ほら、覚えてね? 1年の時同じクラスで学級委員やってただろ?」

 確かその時の男子側の学級委員は――。

 ぼんやりと横にいる羽住(はすみ)を見詰めたら、「ん? 俺もあいつと一緒にやってたって思い出してくれた?」と悪戯っぽく笑われた。

 今の今まで忘れていたけれど、そう言えば小学生の頃は日織(ひおり)揶揄(からか)いまくっていたヤンチャ坊主な印象の羽住(はすみ)だったけれど、中学生になった途端、そういう幼稚なことを一切して来なくなった。
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