大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
***
修太郎の愛しくてたまらない妻が、自分の運転するアルファードから降りて、外の冷気にふるりと震える素振りを見せた後、「い、行って参りますっ!」とどこか緊張した面持ちでビシッ!と敬礼した。
「行ってらっしゃい、日織さん。――僕のことは気にせず、目一杯楽しんでいらっしゃい」
それを見て、日織の緊張をほぐすみたいに虚勢を張って笑顔でそう送り出してはみたものの、その実、修太郎はすぐさま彼女を呼び止めたい衝動を必死で押さえつけていた。
ネイビーカラーの落ち着いた色合いのフレアスリーブワンピースに、ピンクベージュのパンプスを合わせて、上にAラインの白いガーリーコートを羽織った日織は、常より少し大人っぽく見えて……。
修太郎は日織のその出立ちに、不安げに眉根を寄せた。
(こんなに愛らしい子を、会場の男たちは放っておいてくれるだろうか)
そんなことを思って「やはり行くのはお辞めになりませんか」と言いたくなる。
それをグッと堪えて
「同窓会、終わられたらお迎えにあがりますので連絡してくださいね?」
と言えば、
「もちろんなのですっ」
と、はにかむ様がまた可愛くて。
修太郎の愛しくてたまらない妻が、自分の運転するアルファードから降りて、外の冷気にふるりと震える素振りを見せた後、「い、行って参りますっ!」とどこか緊張した面持ちでビシッ!と敬礼した。
「行ってらっしゃい、日織さん。――僕のことは気にせず、目一杯楽しんでいらっしゃい」
それを見て、日織の緊張をほぐすみたいに虚勢を張って笑顔でそう送り出してはみたものの、その実、修太郎はすぐさま彼女を呼び止めたい衝動を必死で押さえつけていた。
ネイビーカラーの落ち着いた色合いのフレアスリーブワンピースに、ピンクベージュのパンプスを合わせて、上にAラインの白いガーリーコートを羽織った日織は、常より少し大人っぽく見えて……。
修太郎は日織のその出立ちに、不安げに眉根を寄せた。
(こんなに愛らしい子を、会場の男たちは放っておいてくれるだろうか)
そんなことを思って「やはり行くのはお辞めになりませんか」と言いたくなる。
それをグッと堪えて
「同窓会、終わられたらお迎えにあがりますので連絡してくださいね?」
と言えば、
「もちろんなのですっ」
と、はにかむ様がまた可愛くて。