大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
いつもは色素の薄いサラサラの姫カットの髪の毛を何もせずにサラリと下ろしている日織だったけれど、今日はハーフアップにしているのも相まって、首筋からデコルテにかけてのラインがやたらと見えている。
ニコッと微笑んで手を振った日織の左手薬指に光る指輪を、思わず縋るような気持ちでじっと見つめて――。
「楽しんでいらっしゃい」と告げた手前、歩き去っていく愛しい妻を引き止める訳にもいかず、ハンドルを握る手に我知らず力が入った。
(極力感情を抑えて見送ったつもりだったけれど、僕は上手く笑えていただろうか?)
そんな事を思ってしまった修太郎である。
結局日織を送り出してすぐ、日織の同窓会会場となっているホテル所有の駐車場に車を停めた修太郎は、そこの1階ロビーにある喫茶店に入った。
ニコッと微笑んで手を振った日織の左手薬指に光る指輪を、思わず縋るような気持ちでじっと見つめて――。
「楽しんでいらっしゃい」と告げた手前、歩き去っていく愛しい妻を引き止める訳にもいかず、ハンドルを握る手に我知らず力が入った。
(極力感情を抑えて見送ったつもりだったけれど、僕は上手く笑えていただろうか?)
そんな事を思ってしまった修太郎である。
結局日織を送り出してすぐ、日織の同窓会会場となっているホテル所有の駐車場に車を停めた修太郎は、そこの1階ロビーにある喫茶店に入った。