大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
***

修太郎(しゅうたろう)さんっ。同窓会、終わったのです」


 同窓会会場から出て少し行った先。

 長椅子の置かれた辺りまで来たところで、日織(ひおり)は窓外を眺めながらクロークから受け取ったばかりのコートを小脇に抱えて、いそいそと修太郎に電話を掛けた。

 コール数回で『日織さん?』という大好きな低音ボイスが耳を震わせて。

 離れていたのはたったの数時間なのに、日織はキュンと胸が締め付けられるような切なさを覚えた。

 マスオさん状態?じゃなくったって、普通の夫婦みたいな有り(よう)じゃなくったって……修太郎さんと自分は紛れもなく夫婦なのだと、スマートフォンをギュッと握りしめて誰にともなく言い訳をする。


 と、そこで――。
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