大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
***
「じゃあ羽住くん。私たちはこれで」
日織がそんな風に言って、この場に区切りをつけてくれなかったら、どうなっていただろう。
そう思った羽住が「あ、ああ……。気をつけて」とどこかホッとして返したら、視界の端、旦那に肩を抱かれて小さな身体が遠ざかっていくのが見えた。
修太郎からの視線が外れたことに羽住がホッと息を吐いたとき、日織がくるりと振り返った。
「羽住く〜ん! 先程の件、また改めてご連絡差し上げますのでっ! よろしくお願いしますっ!」
ペコリ!
羽住は屈託のない日織の笑顔と、それはそれは綺麗なお辞儀を見つめながら、こちらを振り返りこそしなかったけれど、瞬間すぐそばの旦那の身体からゆらりと立ち昇った剣呑としたオーラが物凄い勢いで自分に吹き付けてきたのを感じた。
(あンの天然バカ娘! 何てデッカイ爆弾を最後に落として行きやがるんだよ!)
思わずよろめくように壁にもたれかかって何とか身体を支えながら、
(あんなことをあの男の前で言って、日織自身は大丈夫だろうか?)
と真剣に幼なじみの身を案じた羽住だった――。
「じゃあ羽住くん。私たちはこれで」
日織がそんな風に言って、この場に区切りをつけてくれなかったら、どうなっていただろう。
そう思った羽住が「あ、ああ……。気をつけて」とどこかホッとして返したら、視界の端、旦那に肩を抱かれて小さな身体が遠ざかっていくのが見えた。
修太郎からの視線が外れたことに羽住がホッと息を吐いたとき、日織がくるりと振り返った。
「羽住く〜ん! 先程の件、また改めてご連絡差し上げますのでっ! よろしくお願いしますっ!」
ペコリ!
羽住は屈託のない日織の笑顔と、それはそれは綺麗なお辞儀を見つめながら、こちらを振り返りこそしなかったけれど、瞬間すぐそばの旦那の身体からゆらりと立ち昇った剣呑としたオーラが物凄い勢いで自分に吹き付けてきたのを感じた。
(あンの天然バカ娘! 何てデッカイ爆弾を最後に落として行きやがるんだよ!)
思わずよろめくように壁にもたれかかって何とか身体を支えながら、
(あんなことをあの男の前で言って、日織自身は大丈夫だろうか?)
と真剣に幼なじみの身を案じた羽住だった――。