大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
羽住と別れた直後には、肩に回されていたはずの手が、いつの間にか日織の手を逃すまいとでもするかのように手首をギュッと掴んでいて、それがまた日織の心をざわつかせる。
手を繋ぐ要領で手のひらを握られているのならば、まだここまで不安にはならない。
だけど手首を掴まれるのは、何だか手錠を彷彿とさせられて、少し怖い。
無言でエレベーターに乗せられて、気が付けば最上階へのボタンを押されていた。
「修太郎さん……あの……。もしかして……怒っていらしたり……しますか?」
何故かは分からないけれど、そんな気がした日織である。
日織だって馬鹿じゃない。
全然心当たりがないというと嘘になる。
けれど、どれもこれもそんなに修太郎を激怒させるようなことには思えなくて――。
イマイチ確信が持てない。
「――そう聞いていらっしゃると言うことは……何か自覚がおありなんですか?」
ややしてポツンと落とされた修太郎の声に、日織はドキッとした。
いつもの穏やかで柔らかな声音ではなく、修太郎が何かに腹を立てているときの冷たくて抑揚の感じられない低音ボイスだ。
でも――何に?
手を繋ぐ要領で手のひらを握られているのならば、まだここまで不安にはならない。
だけど手首を掴まれるのは、何だか手錠を彷彿とさせられて、少し怖い。
無言でエレベーターに乗せられて、気が付けば最上階へのボタンを押されていた。
「修太郎さん……あの……。もしかして……怒っていらしたり……しますか?」
何故かは分からないけれど、そんな気がした日織である。
日織だって馬鹿じゃない。
全然心当たりがないというと嘘になる。
けれど、どれもこれもそんなに修太郎を激怒させるようなことには思えなくて――。
イマイチ確信が持てない。
「――そう聞いていらっしゃると言うことは……何か自覚がおありなんですか?」
ややしてポツンと落とされた修太郎の声に、日織はドキッとした。
いつもの穏やかで柔らかな声音ではなく、修太郎が何かに腹を立てているときの冷たくて抑揚の感じられない低音ボイスだ。
でも――何に?