君との恋の物語-Red Pierce-
再会
図書館に入ると、まずは窓際の席に荷物を置きに行く。
貴重品だけ持ったら本を取りに行く。
前は、図書館のちょうど真ん中辺りの席を使っていたが、さぎりと距離を置くようになってからはそこを使うのはやめた。
色々、思い出すからな。
俺が向かう本棚大体いつも同じ。
歴史に関する本があるところばかりだった。
今日は、ちょっと気になる人物を見つけたので、関連する本を2、3冊取って席に戻った。
ノートを取り出したら、どんどん書く。目についたもの、気になったこと、人物名等本当になんでもだ。
見開きのページに書けるだけ書いたら、次のページに時系列順に清書する。
効率は悪いと思うが、俺はこのやり方が1番整理できる。
持ってきている本から重要と思われる箇所を書き出して整理するのに2時間半ほどかかった。
今日は授業がないのでかなりガッツリ作業できたな。
一旦荷物をまとめて図書館を後にする。
午前中の授業が終わる30分程前に食堂に着いて、簡単に食事を済ませる。
午後からはまた図書館に行く予定だった。
友達に会えば話もするし、どうしても時間がかかるので、時間をかけて作業をしたい日は、こうして時間をずらしていた。
日替わり定食を10分で平らげて図書館にもどってきた。
食後はコーヒーを飲みながら作業をする。
目につくままに書き出していく作業が終わったところで、一息ついた。
今回の題材は、下書き段階での情報量がかなり多かった。
清書には、又別の集中力が必要になる。
一旦休憩だ。
俺は、椅子の背もたれに寄りかかって天井を見上げた。
もう、1年だぞ。
会えるんだよな?もう一度。
そのまま静かに目を閉じる。
すると、急に頬っぺたが冷たくなった。同時に、少し濡れた感覚。
『うおっ』
びっくりして後ろに倒れそうになった。
っていうか、なんだよ。
振り返ってみるとなんと…
さぎりだった。
『お、おう。』
驚きのあまり、咄嗟に言葉が出てこなかった。
「久しぶり。」
そんな言葉とは裏腹に、さぎりはいつもの笑顔だった。
『あぁ、なんだよ、急に。』
ここまできて、少し事態が飲み込めてきた。
「驚かせてごめんね。図書館にきたら、見かけたからさ。」
…
『あぁ。』
珍しく自分がどんな顔をしているのか想像がつかなかった。
「頑張ってるみたいだね。」
そりゃそうだ。この1年で、随分仕事をもらえるようになったからな。
『まぁな。仕事だからな。』
さぎりは小さく頷くだけだった。
「もうすぐ、だよね。」
あぁ。
『そうだな』
「ちょうど1年後の日、空いてる?」
『空けてある。
「そっか。詩乃の部屋、行ってもいい??」
『おお、いいぞ。』
「良かった。じゃぁ、10時頃に行くね。はい、これ」
そう言って先程俺を驚かすのに使った缶コーヒーを机に置いた。
『待ってるよ。ありがとう』
踵を返して歩いて行った。
俺は、机に置かれた缶コーヒーを呆然と眺めていた。
ブラックのアイスコーヒーで、開封後も蓋が閉められるタイプの物だ。
たまたま見かけたから…?
本当か?
用事があって来ていたと言うわりには、話したらさっさと出て行ってしまったし、
ブラックのアイスコーヒーなんて、普段さぎりが買うような飲み物でもない。
未開封だし。
まぁ、いいか。たまたまってことにしておこう。
それにしても、予定空けておいて正解だったな。
久しぶりに会ったさぎりは、いつも通り綺麗だった。
ほんの一瞬だったが、好きな気持ちや一緒にいたい気持ちも呼び起こされてしまった。
寂しさを忘れるために遠ざけてきた気持ちを再確認してしまった。
約束の日まで、約2週間。
これまでの1年の中で1番長く感じる2週間になりそうだと思った。
貴重品だけ持ったら本を取りに行く。
前は、図書館のちょうど真ん中辺りの席を使っていたが、さぎりと距離を置くようになってからはそこを使うのはやめた。
色々、思い出すからな。
俺が向かう本棚大体いつも同じ。
歴史に関する本があるところばかりだった。
今日は、ちょっと気になる人物を見つけたので、関連する本を2、3冊取って席に戻った。
ノートを取り出したら、どんどん書く。目についたもの、気になったこと、人物名等本当になんでもだ。
見開きのページに書けるだけ書いたら、次のページに時系列順に清書する。
効率は悪いと思うが、俺はこのやり方が1番整理できる。
持ってきている本から重要と思われる箇所を書き出して整理するのに2時間半ほどかかった。
今日は授業がないのでかなりガッツリ作業できたな。
一旦荷物をまとめて図書館を後にする。
午前中の授業が終わる30分程前に食堂に着いて、簡単に食事を済ませる。
午後からはまた図書館に行く予定だった。
友達に会えば話もするし、どうしても時間がかかるので、時間をかけて作業をしたい日は、こうして時間をずらしていた。
日替わり定食を10分で平らげて図書館にもどってきた。
食後はコーヒーを飲みながら作業をする。
目につくままに書き出していく作業が終わったところで、一息ついた。
今回の題材は、下書き段階での情報量がかなり多かった。
清書には、又別の集中力が必要になる。
一旦休憩だ。
俺は、椅子の背もたれに寄りかかって天井を見上げた。
もう、1年だぞ。
会えるんだよな?もう一度。
そのまま静かに目を閉じる。
すると、急に頬っぺたが冷たくなった。同時に、少し濡れた感覚。
『うおっ』
びっくりして後ろに倒れそうになった。
っていうか、なんだよ。
振り返ってみるとなんと…
さぎりだった。
『お、おう。』
驚きのあまり、咄嗟に言葉が出てこなかった。
「久しぶり。」
そんな言葉とは裏腹に、さぎりはいつもの笑顔だった。
『あぁ、なんだよ、急に。』
ここまできて、少し事態が飲み込めてきた。
「驚かせてごめんね。図書館にきたら、見かけたからさ。」
…
『あぁ。』
珍しく自分がどんな顔をしているのか想像がつかなかった。
「頑張ってるみたいだね。」
そりゃそうだ。この1年で、随分仕事をもらえるようになったからな。
『まぁな。仕事だからな。』
さぎりは小さく頷くだけだった。
「もうすぐ、だよね。」
あぁ。
『そうだな』
「ちょうど1年後の日、空いてる?」
『空けてある。
「そっか。詩乃の部屋、行ってもいい??」
『おお、いいぞ。』
「良かった。じゃぁ、10時頃に行くね。はい、これ」
そう言って先程俺を驚かすのに使った缶コーヒーを机に置いた。
『待ってるよ。ありがとう』
踵を返して歩いて行った。
俺は、机に置かれた缶コーヒーを呆然と眺めていた。
ブラックのアイスコーヒーで、開封後も蓋が閉められるタイプの物だ。
たまたま見かけたから…?
本当か?
用事があって来ていたと言うわりには、話したらさっさと出て行ってしまったし、
ブラックのアイスコーヒーなんて、普段さぎりが買うような飲み物でもない。
未開封だし。
まぁ、いいか。たまたまってことにしておこう。
それにしても、予定空けておいて正解だったな。
久しぶりに会ったさぎりは、いつも通り綺麗だった。
ほんの一瞬だったが、好きな気持ちや一緒にいたい気持ちも呼び起こされてしまった。
寂しさを忘れるために遠ざけてきた気持ちを再確認してしまった。
約束の日まで、約2週間。
これまでの1年の中で1番長く感じる2週間になりそうだと思った。