酒飲み女子がどきどきさせられてます
side 口田亮太郎・1

食事会

翌週金曜日。
優子と八木とおれ、口田亮太郎は3人で食事をすることになった。
場所は職場から離れたカジュアルレストランにした。
いつも【YOSAKU】では会社の人に見られる可能性があったからだ。
その店は俺が女性と食事するときによく行く店だったが、会社の人に会ったことはなかった。加えて半個室なので落ち着いて話ができるだろう。

待ち合わせの時刻までまだ時間がある。
俺は電車に揺られながら、優子と八木のことを考えていた。




優子が体調不良で休んだ日。
八木がお見舞いに行きたいと俺に伺いを立てにやってきた。
ちょうど仕事帰りに優子のところによるつもりだったを八木に任せたのだ。


「どうしてあの時、八木君を来させたの?今までだったら絶対に考えられない!」
優子が不思議に思うのも当然だろう。

入社当時から美人で愛想のよい優子は男性社員から狙われていた。
そいつから優子を守るために、俺は優子の彼氏と疑われても否定しなかったし、優子にもさせなかった。彼氏なら、近付いて来るそいつらに威嚇することも簡単にできた。

そんなだったから、優子のもとに八木一人で行かせるなどという行動をとるとは思ってもみなかったのだろう。


俺には後悔があった。
優子が大学生になった時だ。
俺には彼女がいたし、彼女が嫌がるかなと思って優子と距離を置いていた。
もう大人だからと自分に言い聞かせ、子離れ、、、嫌、従兄妹離れをしようともしていた。
だから、都会に出てきたばかりの優子とあの男の付き合いを認めてしまったのだ。

二度と優子があんなに泣いて苦しむ姿は見たくない。

ならば、俺がそばでずっと守ってやり続けるか?
ということは優子と結婚してなんてことを思ったことは一度ではない。
しかし、その度に、無理だと思うのだ。
結婚ということは、まずは付き合って、、、、付き合うということはあれやこれや、、、、、いや、、、無理だ、、、となる。

優子は完全に家族である。
今更、、、お互いに無理だろう、、、。
もしそういう関係になっていもいいのであればもっと昔にな男女の関係になっていただろう。

けれど、兄のように優子を育ててきた俺には無理だ。
ここらで優子を守ってくれる男に役目を渡してもいいのではないかと思い始めている。

その役目として、彼氏だと思われていた俺に食って掛かったあいつ、八木はどうだろう。
人事として、仕事もでき人柄もよい八木を目にかけてきた。
だから現場の管理職を想定した部署で働かせていた。

問題は若いということと、同性から見ても整った顔立ち。
性格もいいのだからそうとうモテているようだ。




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