あの瞬間キミに恋した
そして拓哉君が
「紗羅ちゃんと花山って今日が初対面だったの?」と疑いの目で聞いてきた。

「え?うん。そうだよ」

「その割には、仲が良すぎるように見えるんだけど・・・」

ん?何か・・・拓哉君怒ってる?何で~!!私、何か怒らせるような事言ったのかな?

「そんな事ないよ。何か面白いヤツだとは思ったけど」

「本当にそれだけ?」と怖い顔で言う拓哉君。

「うん。そうだけど」

「あと、例の件ってなんなの?」

困った。これは困った。
説明したいけど、言ったら薫に申し訳ないし。

そして私は
「ごめん・・・それは言えない」

「そっか・・・。わかったよ。もう聞かないからさ。さっ、本直そうか」と寂しそうに私に言った。

「ねぇ拓哉君何か怒ってるの?」

「別に・・・怒ってなんかないよ」

「そう?それなら、いいんだけど」

何か・・・やっぱり・・・おかしいよ、拓哉君!!
も、もしかして・・・ヤキモチ?
なぜだか、そんな気がした。
そんな訳ないよね・・・。私ってば、自惚れすぎだって!!
拓哉君には、私よりもっと、つり合う人がいるだろうし。
そんな事を考えていると拓哉君がポツリと言った。

「紗羅ちゃんと僕、昔会った事あるんだ」と拓哉君が笑顔で言った。

え?本当に?

「え?本当に?私達、昔会った事あるの?」

「うん。覚えてないかな?昔、病院で紗羅ちゃんに会ったんだよ」

病院?
病院と聞いて、ふと思い出が蘇る。

「え?もしかして・・・あの時の男の子が拓哉君なの?」

「うん、覚えててくれてたんだね!紗羅ちゃんにまた会えて僕嬉しいよ。すっごく」

拓哉君と私が初めて会ったのは
私が小学3年の時だった。
私は昔体が弱く、よく病院に行ってた。
小児喘息だったんだ。
そして小3の夏、私は喘息がひどくなって、入院する事になった。
今は、もう元気モリモリで大丈夫なんだけど。

そして入院した日に、私に話しかけてきた男の子。
そうこれが・・・拓哉君との初めての出会いだった。
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