一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない

 それからこれは夢ではないかと何度も思ったけど、すぐに籍を入れることになった。
 親族だけの小さな挙式をし、挙式後すぐに沙穂とローマに向かう。

 その日の夜、緊張している沙穂を見て、かわいくてすぐに押し倒したくなったけど、ぐっとこらえた。

 風呂上がりに、沙穂の白いうなじが赤く染まっているのが見える。
 思わず沙穂の頬を撫でると、沙穂が目を細める。

(かわいいな……)

 これまで、決められた相手ならだれでも受け入れると思っていた沙穂。
 もうこれからは俺だけを見て、俺だけを受け入れてほしい。

 そんなことを本気で思っていた。


「環境がガラッと変わって心細くない?」

 緊張をほぐすように聞いていた。

「いいえ、まったく。だって、ローマはすごく好きな街だし、また来たかったです。……鷹也さんもいるから」

 そう言われて我慢できなくなって、すぐに唇を合わせる。
 すぐに舌を差し込みたくなったけど、なんとか我慢して軽いキスをする。

 キスをするたびに、身体がピクリと動いて緊張しているのが伝わってきていちいちかわいいと思う。それが楽しくて、何度も何度も口づけた。

「キスも式の時が初めてだったよね?」
「……は、はいっ。すみません、う、うまくできなくてっ……」

 沙穂がこちらを見上げると、思わず強く抱きしめた。

「ごめん、我慢できないみたい」
「へ?」

 ひょい、と軽い身体を持ち上げる。
 大切に、大事に、沙穂を抱く。

 傷つけないで、ゆっくり。
 彼女の身体が慣れるまで、理性が保てるか心配だったけどなんとかなった……いや、無理矢理なんとかした。

 彼女は恥ずかしがって目をぎゅっと閉じていて、
 それもかわいかったけど、少し切なかった。

 俺は、彼女が目の前の俺のことを本気で好きになってくれるまで……
 そして、『本当の意味』で俺との子どもが欲しいと思うまで、彼女との子どもは我慢することにして

 彼女が見ていないことをいいことにそっと避妊を続けていた。
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