一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
その日、ローマに無理矢理連れて帰った彼女を激しく抱いた。
避妊なんてせずに、しかも最高のタイミングだと分かっていて、自分の独占欲を彼女に放った。
―――それから一か月。
彼女の誤解も解き、彼女の大きな不安と小さな嫉妬心も知り……。
「鷹也さんとの子どももできないし……私は私の役割を果たせているのか、不安で……」
「それは……すまない」
それは自分に原因があった。だって、『あの日まで』避妊していたから。
何も知らない沙穂はぷるぷると首を横に振る。
「鷹也さんのせいじゃないです。でも、その時、フェミル製薬のご令嬢と婚約されていたことを聞いたんです。鷹也さんはまだ貴子さんのことが好きって聞いて」
写真で信じて、本当に沙穂はバカだな。
でもその不安になる気持ちは自分にもわかった。
好きだから不安になる。
絶対にそうじゃない、と言い切れなくなる。
自分だって、彼女が『他に好きな人ができました』なんて発言をしただけで、あれだけ不安になって揺さぶられたんだ。
「話してくれればすぐ解決できることだったんだけど」
「じゃ、邪魔になりたくなかったし……嫌われたくなかったんです」
「邪魔なんて、そんなこと思うはずないだろ。言っただろ? 俺は、沙穂が好きだった。今はもっと……」
沙穂は涙目でこちらを見上げる。
彼女は泣きそうな上ずった声で問う。
「……私、鷹也さんとずっと一緒にいていいの? 子どものことだって……どうなるかわからないのに」
思わず沙穂の唇にキスをした。
「大丈夫だ、きっと子どものことは」
「そんなの……」
「今月、あれ、ちゃんと来てる?」
「ふぇ……? 来てない……」
「もう少ししたら検査してみよう。きっとできてると思うけど」
「……え、ど、どういうこと」
驚いた顔の沙穂を見て、思わず目を細めた。
「ごめんね、こんな独占欲しかない男で」
そう言って彼女の額に口づけていた。