一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
「ほんと……? でも、そんな気がする……あの時から、少し変で……気のせいだと思ってたけど」
気づいたら沙穂がボロボロ泣いていた。
慌てて沙穂を抱きしめて、ごめん、と何度か繰り返す。
「ごめん、不安だったよな」
「だって鷹也さん『大事な人との子どもしか欲しくない』って言ってたじゃないですか。私とは子ども作りたくない気持ちでいるのかなって……だからできないのかなって、そんなことも思ったり」
「バカだな。もちろん、沙穂との子どもは欲しいって。ずっと欲しかった。でも、避妊してただけ」
はっきりと沙穂に言うことにした。
沙穂は思った以上に驚いた顔をする。
「ひ、避妊……?」
俺は、ごめん、ともう一度頭を下げて続けた。
「沙穂は自分が『子どもを作るためだけ』に存在していると思ってただろ。俺が沙穂とずっと一緒にいたくて……。それで沙穂も俺と同じ気持ちになってから子どもが欲しいと思ってた」
そう言って目を細める。「わかってほしい。俺は、これをただの政略結婚なんかだと思っていないんだ」