一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
「何を言ってる」
腕を掴まれそうになって、私はあわてて鷹也さんから一歩引く。
少しでも彼の熱に引き込まれたら、離婚なんてもう口にできないと思った。
「と、とにかく、私はここには戻りません。今日は離婚届を取りに来ました。提出するために、離婚届に判をお願いします。私はそれをもってまた日本に……」
言い終わるより先、それを許さないと言うように、鷹也さんが私の手首をパシリと掴んだ。
それだけで自分の目が潤むのを感じる。
「沙穂は俺の妻だ。これ以上勝手をすることは許さない。俺の言うことに納得できないなら、何人か人をつけて、常時監視体制に置くぞ」
私の熱とは反対に、鷹也さんはぴしゃりと冷ややかな声で告げる。
「……そんなのっ!」
「それは嫌だろ」
怒ったような表情に、思わず自分も噛みつくように目を合わせたけど、結局、鷹也さんの目に引き込まれそうになって目線をそらした。
ひんやりした室内の空気が二人を包む。
「ひ、卑怯ですっ」
「俺が、沙穂のことどれだけ探したと思ってるんだ」
「たった一週間で見つけたくせにっ」
「一週間も、だ」
そのまま抱き上げられて、鷹也さんは歩き出す。
そのいく先がベッドルームだと分かると、私はじたばたと暴れた。