一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
 あまりしないが、ゲームで言ったらレベル1とレベル999くらい違うだろう。
 そう思って一人落ち込んだ。


「ところで、どうして一人でローマに?」

 鷹也さんはそう言って、私にペットボトルのミネラルウォーターを渡してくれる。
 私はそれを受け取るとお礼を言い、一口飲むと事情を説明することにした。

「えっと……実は私、もうすぐお見合いして結婚するんです」
「へぇ……」

 そう言って鷹也さんは少し驚いたように目を細める。

「あ、今、『高校生みたいなのに』とか思いましたね」
「ちょっとだけ」
「ひどい」

「ごめんごめん。で、それが嫌で逃げてきた?」

 そう聞かれて、私は何度も首を横に振った。

ーーー別に嫌なわけじゃないんだ。
< 23 / 108 >

この作品をシェア

pagetop