一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
6章:1年前③
結局、私は遥に鷹也さんのことを根掘り葉掘り聞いていた。
意味なんてない。知ってどうなるものでもない……。
だけど、あの人の人となりが知りたかった。
どんな人生で、今、どんな人なのか気になった。
ネットで調べてみたら、研究でも賞を受賞している上に、経営者としても国内外で注目を浴びていることがわかり、余計に調べる手が止まらなかった。
(これでは完全にストーカーだ……)
そうは思うけど、毎日そんな日々を過ごした。
その中で、大学時代にお母さまを亡くされていることも知った。
見てみたら、私の母と同じ病気だったようだ……。
―――しかし、次の週には、みのり製薬の三徳優史さんとのお見合いだった。
一気に現実に引き戻される。
もう忘れなきゃ、そう思うたびになぜか鷹也さんの顔が思い浮かんでしまう。
私は着つけられ、メイクされて、お見合いの会場に指定された帝国パークハイアット内にある料亭へ、父と向かっていた。
(あぁ、いよいよか)
そう思ってため息を一つ。
(あれ? これまで別に憂鬱なんかじゃなかったのに……。今、すごく憂鬱な気分……)