一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
7章:新婚生活①
―――世の中の『普通の夫婦』っていうものがどんなものかはわからないが、鷹也さんは正直、めちゃめちゃ私に甘いし、怒ることもない。
「お帰りなさい」
「ただいま。これ、お土産」
鷹也さんは茶色の袋を私に渡す。
それは以前私が話題に出したことのあるお店のもので……。
「毎日、いいのに」
「沙穂、ここのアイスがおいしかったって言ってなかった?」
「言ったけど」
「じゃ、あとで食べさせてあげる」
「『食べさせて』あげるって……!」
―――もう嫌な予感しかしない。
鷹也さんは楽しそうに文字通り私に『食べさせて』くれるが、誰に見られているわけでもないが恥ずかしいし、やめてほしい。子ども扱いされているみたいでそこも気にも食わない。
私がむくれると、鷹也さんは微笑んで、スーツのネクタイを緩める。
「で? 今日は、何してた?」
私はそれを見ると、毎回、なぜかどきりとして目をそらしながら、ネクタイや脱いだシャツを受け取って鷹也さんと今日のことについて話す。
「朝はイタリア語のレッスンして、発音について城内さんにみっちり絞られて……。昼は近くを散歩してました。鷹也さんと行きたいカフェも見つけて……今度いきましょうね」
「あぁ」
「んんっ……」
そのままキスをされ、額を合わされる。
「それから?」
「あ、それ、カフェグレコってとこで、エスプレッソがおいしくて……んっ、夕方はピアノと、英語で……」
またキス。そのうち、鷹也さんの手がトップスに差し込まれる。
「た、鷹也さん、食事は?」
「うん、先にこっち」
(いくら子作りが大事だからってこんなに毎日しないと子どもって出来ないものなの……?)
そう……夜は彼が出張や、私ができない日でない限り、私たちは大抵が『そういうこと』をしていた。